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心身障害者扶養保険、来年より負担額2倍へ?


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心身障害者扶養保険というものがあります。


心身障害者扶養保険事業 独立行政法人福祉医療機構(WAM-NET)


「障害者の相互扶助の精神に基づき、障害者の保護者が加入し、掛け金を支払うことにより保護者が死亡した際に、終身年金を受けることができる」という制度なのですがこれの見直しが行われています。


なぜかというと、「このままじゃ制度がもたない」から。


まず、制度の概要について説明すると


◇加入時期の年齢・一口あたりの掛け金

30歳以上-35歳未満 月額 3,500円
35歳以上-40歳未満 月額 4,500円
40歳以上-45歳未満 月額 6,000円
45歳以上-50歳未満 月額 7,400円
50歳以上-55歳未満 月額 8,900円
55歳以上-60歳未満 月額10,800円
60歳以上-65歳未満 月額13,300円


◇給付内容

年金 加入者(障害者の保護者)が死亡または重度障害 月額2万円/口
弔慰金 加入者が死亡または加入者と障害者が同時に死亡 加入年数によって2万-10万円
脱退一時金 加入者が生存中に制度を脱退したとき 加入年数によって3万-10万円


という内容なのですが、以下のような現状により、見直しが検討されています。


◇現状

  • 運用利回りの低下
  • 障害者の受給期間の長期化
  • 掛け金引き上げの見送り

により、積み立て不足が発生。


具体例をあげると

平成7年度時点 平成17年度時点
受給者の平均受給期間 9年7ヶ月 13年11ヶ月
生涯年金受給額 230万円 330万円

100万円以上受給額が増えたのに対し、平成17年度の加入者の平均掛け金総額は180万円
180万円払って330万円ですので、一人あたり150万円の赤字となっています。


制度全体では平成17年度の掛け金が45億円なのに対し、給付金が100億円となっており国と道府県政令都市で92億円負担を公的負担しています。


任意加入であり障害者の相互扶助が制度の趣旨であるにも関わらず公的負担が大きすぎる。しかも、加入者は9万人と710万人の障害者の1.4%しか占めないためごく一部の障害者のために毎年90億円以上の税金を投入していることになっている。国と地方自治体の公的負担をこれ以上増やさずに、制度を維持するには「掛け金の引き上げが必要」というのが、検討委員会の流れです。


では、どれぐらいの引き上げかというと、検討委員会の議事録を読むと


「心身障害者扶養保険検討委員会」(第4回)の議事録 厚生労働省


今後も年金額2万円を維持するためには、現在加入している者については、大幅な負担増を防ぐために、掛け金を1.5倍へ。
新規加入者については、2.5倍と、なっています。


負担増ということになってしまいますが、この制度に関しては

  • 制度の趣旨がもともと「任意加入による相互扶助」であった。
  • 加入者は全障害者の1.4%であり、税金を導入するには対象が偏りすぎ。


という面から仕方ないかな〜という気もします雨


国と地方自治体には、十分な周知をした上で、混乱がおきないようにやって欲しいですね。


◇参考リンク
第1回心身障害者扶養保険検討委員会資料(PDF) 厚生労働省
心身障害者扶養保険事業 独立行政法人福祉医療機構(WAM-NET)