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全盲患者放置、根本的な原因について考えてみよう


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全盲患者放置:堺市の病院職員が公園に 引き取り断られ 毎日新聞(2007.11.13)

堺市北区新金岡豊川総合病院の職員4人が9月、糖尿病で入院していた全盲の男性患者(63)を連れ出し、大阪市西成区の公園に放置していたことが分かった。職員らは放置直後に匿名で119番通報し、男性は救急隊に保護された。患者は治療費を滞納していたほか、トラブルも多かったといい、職員らは「退院可能なため知人に引き取らせようとしたが、断られたので放置した」と説明。病院側も事実を認めている。大阪府警西成署は既に保護責任者遺棄容疑で同病院を捜索し、カルテなどを押収している。
全盲患者放置とあるので、はじめはびっくりしましたが、詳しく読んでみると
病院だけ責める報道は、どうなんでしょうか。

報道によると

 ・約3年前から退院可能
 ・約2年前から入院費用など治療費を滞納
 ・備品を壊す
 ・看護師に暴言を吐く
 ・目の不自由な人向けの施設などへの入所を勧めても拒否
 ・他の患者とトラブルを起こして6人部屋を独占
 ・暴言を恐れて辞めた看護師もいる
 ・失明は糖尿病性網膜症のせい?

入院の必要がないのに、居続け
施設入所を進めても「なんで俺が動かないといけないか」と拒否し
入院費は支払わず
他の患者とトラブルを起こして6人部屋を一人で使い
辞める看護師がでるだけの暴言を吐き続け
しかも全盲の理由が糖尿病から来た「糖尿病性網膜症」であるのなら
失明は、暴飲暴食して糖尿病になっても暴飲暴食を辞めずに続けた不摂生の成れの果て。

これでも病院って、ずーーーーっと生活させてあげないといけないんですか?
さすがに、公園に放置するのはどうかと思いますが、職員の気持ちが分からないでもありません。

結局、今の社会保障制度改革の問題のひとつである
社会保障費削減のための政策はさっさと実施するが、そのフォローの政策は後回し」

つまり

国:社会的入院を減らせ。入院が長期化すると診療報酬削るぞ
国:受け入れ先の療養型病床群は廃止、まあ受け入れ先はあとで考えましょう
国:応召義務は守れ

という矛盾だらけの政策を押し付けられた現場が、抱えきれなくなって「公園に放置」
という流れがあると・・・となると、改善のためには「問題がある制度」を改善するしかないのですが

マスコミは国を批判できないのか、経団連の顔色を伺っているのかは
知りませんが、制度批判ではなく、いつものように「病院バッシング」に始終しています。
特に、産経新聞に至っては

【産経抄】11月14日 MSN産経ニュース

▼病人を世話するのが仕事の病院職員が、事情はあるにせよ全盲の患者を公園に置き去りにした事件は、日本人の心の荒廃が、抜き差しならぬところまできたことを物語る。道徳という心棒がない戦後教育を今すぐ抜本的に変えなければ、この国はいずれ内部から崩壊してしまう。
制度上の矛盾のために生じた「公園に置き去り」を、「心の荒廃が進んでいる。道徳がない戦後教育を変えなければこの国は崩壊する」と、わけ分からん論理で飛躍をさせています。
システムの問題(金も人もない)を道徳の問題に摩り替えても、どうしようもないんですけどね。

道徳という心棒がある戦前教育がお好きなようですが
「気合と根性と大和魂愛国心があれば竹やりでも鬼畜英米に勝てる論」で
今の医療制度を見ているっぽいですね、この論説委員
「気合と根性と医療者魂と道徳があれば、一人医長で休みは年2日でもこなせる論」でも
唱えていそうです。
まあ、産経ですし、こんなもんでしょ。
ちなみに、産経の反対側方々は、プロ市民を使って医療崩壊させてますね。毎日とか。

さて、このような矛盾は他にもいろいろあります。
自立支援法で国の負担減になる応益負担はさっさと実施するが、就労支援は後回し」
「生保の母子手当廃止はさっさと実施するが、就労支援は後回し」

いろんなところに爆弾が仕込まれています。
今の制度改革は爆弾を増やしつつ、回りで火遊びをしているようなものですから
いつ爆発しても、それが誘爆を起こしてすべてが吹っ飛んでもおかしくありません。