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看護師が処方に死亡診断?


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規制改革:医師負担軽減で看護師の薬処方解禁…医療分野案 毎日新聞(2007.12.7)

政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)が2次答申に向けまとめた医療分野の規制緩和策の原案が6日、分かった。最優先課題に医師不足対策を掲げ、医師の負担軽減のため看護師などが行える医療行為の範囲を広げる法改正を08年度中に実施することなどを盛り込んでいる。また、医療従事者の派遣解禁や、入院日数短縮のため、患者がいくら入院しても病院には一定の報酬しか払わない「定額制」導入も明記した。今月下旬をメドに最終案をとりまとめる予定だ。

答申は医師以外の医療従事者も医療行為ができるように医療関連法を改め、勤務医の負担を軽減するよう求めている。具体的には(1)看護師による感冒、便秘、不眠、高血圧、糖尿病などに対する検査、薬の処方(2)助産師による正常分娩時の会陰切開、縫合(3)訪問看護における看護師による死亡確認や薬の処方−−などの解禁を挙げた。

看護師に便秘、不眠、高血圧、糖尿病などに対する検査と処方権?


看護学部卒です。専門より1年多い大学という場所ですが、習った医学(解剖・生理・病理)や薬学(薬理)は、基礎中の基礎、臨床での最低限レベルです。


心電図も、現実は「これだけはやばいから覚えろ」というレベルです。新卒で病棟配属時に「この心電図だけは、危険なので、この波形を見たら先輩看護師を呼ぶことができる」といった、そんなレベルです。


アメリカのナースプラクティショナーみたいに修士課程の2年で徹底的にたたき込んだ上で一部のみ解除ならまだ理解できますが現状の教育制度で感冒、便秘、不眠、高血圧、糖尿病の検査・処方なんて、馬鹿げているとしか思えません。


感冒感冒とわかっているならいいのですが、実際は他の疾患の症状かもしれず、それらを見分けること、つまり「診断できること」が必要です。高血圧・糖尿病なんて血管系イベントリスクもありますし、do処方していれば良いってもんではありません。スティーブンス・ジョンソン症候群の問題だってありますし。


しかし、看護系大学や専門学校で学ぶ医学は「看護師として臨床で働くための知識」、「看護(診療の補助や療養上の世話)を行う上で必要となる知識」であり、診断・検査・処方・治療を求めているものではありません。


ですから、無理な話というものです。


それに、そもそも、こんなのが、医師の負担軽減につながるわけないです。
医師不足


 ○看護師による検査・処方権
 ○助産師による会陰切開、縫合
 ○訪問看護師の処方・死亡診断


でどうにかなるものじゃありません。それに、この案だと、言い方は悪いですが、医師は「看護師による処方や診察の後始末」に追われ、過剰な医師業務に拍車がかかります雨。看護師だって看護業務すら満足に回せない状況なのに、さらに処方まで担当することは物理的に不可能ですし。


財界と政府与党は何を考えているのでしょうか・・


でも一番気になるのは、看護協会の考え。「看護師の地位向上だわ、ぜひ導入するべき」と思っていたら、心配です。


一応、「医学の進歩・高度化により看護師に求められる能力も高まっているため、看護基礎教育4年制が必要だ」と言っているので、「処方や死亡診断は修士卒以上が最低限、それも看護基礎教育4年制が前提」とぐらい言ってくれるはずですが・・・