保健師のまとめブログ

保健師が気になった情報をまとめています。

国立がんセンターの麻酔科医の半数が退職へ


下のバナーをぽちっと押していただけるとブログ作成の励みになりますm(_ _)m↓
やる気成分が2mgぐらい増えます。

看護 ブログランキングへ

国立がんセンター:麻酔医が相次ぎ退職 手術にも支障 毎日新聞(2008.4.3)

国立がんセンター中央病院(東京都中央区、土屋了介院長、病床数600)で、10人いた常勤麻酔医のうち5人が昨年末から先月までに相次いで退職し、1日の手術件数が2割減る異常事態になった。より待遇の良い病院への転籍などが退職理由で、「がん制圧のための中核機関」を理念に掲げる日本のがん治療の“総本山”に、全国的な医師不足が波及した形だ。【須田桃子】 


がんセンター中央病院は常勤医師約150人、1日当たりの外来患者約1000人と、国内でも最大級のがん治療専門施設。これまでは、1日当たり約20件の外科手術をしてきたが、術中の麻酔管理を担当する麻酔科医が半減したことで、3月末から1日約15件しかできなくなった。


国立がんセンター中央病院、築地の方の麻酔科医10名のうち半数の5名が退職したという記事ですが
辞めた理由について、新聞各紙は

毎日新聞 土屋院長によると、退職の主な理由は、待遇の良い民間病院や都立・県立病院への転籍だ。同病院の職員は国家公務員で、30代の中堅医師の場合、給与は年間700-800万円程度。一方、都立や県立病院は1000万円台、民間病院なら1000万円半ばから数千万円になるという。
日本経済新聞
麻酔科医の半数が退職・国立がんセンター中央病院(2008.4.3)
給与面などで待遇が良い他の病院への転籍が主な退職理由といい、手術件数が減るなどの影響が出ている。
朝日新聞
国立がんセンターで麻酔医退職相次ぐ 手術も制限(2008.4.3)
中央病院によると、退職医師の多くは、給与など待遇の良い医療機関に転籍した。中央病院医師は国家公務員で、30代の中堅で年収700万-800万円ほど。1千万円を超えることの多い民間病院と比べて低く、より良い待遇を求めたとみられる。また、関係者によると、技術を向上したいという麻酔医らの要望に、中央病院の手術内容では応えられないという不満も出ていたという。
産経新聞
麻酔科医が半分に!待遇不満で退職 国立がんセンター中央病院(2008.4.3)
給与面などで待遇が良い他の病院への転籍が主な退職理由といい、手術件数が減るなどの影響が出ている。


「給与が悪いから医師がいい待遇を求めて辞めた」という内容になっていますが、中の人から聞いた話しによると、「給与が低いことはわかっていた。緩和ができると聞いて来てみたら実際は麻酔管理ばかりだった。改善を求めても、されなかった」


というのが、辞めた理由のようです。


毎日新聞の記事では「土屋院長によると」とありますが、院長が「麻酔科医が待遇が悪いと言って辞めていった」と取材に答え、それを新聞各紙は裏を取らずに、そのまま掲載したということでしょうか。


朝日新聞だけは国立がんセンターの隣に立っている地の利かは知りませんが、「関係者によると」と、少しつっこんだ取材をしてますね。
一方、産経新聞は、相変わらずフジサンケイグループあげての「医師嫌い」がうかがい知れる「スポーツ新聞」「夕刊紙」みたいなセンセーショナルなタイトルをつけています。


ところで、話しは変わりますが、一番上の毎日新聞の記事にある

1日当たり約20件の外科手術をしてきたが、術中の麻酔管理を担当する麻酔科医が半減したことで、3月末から1日約15件しかできなくなった。

という一文ですが、麻酔科医は「1/2」ですが、Ope件数は「3/4」。マスコミにとっては「15件しか」という表現ですが、一人当たりで単純計算しても2.5倍の業務をこなしています。


さて、国立がんセンターの職員募集を見ると

国立がんセンター中央病院 医師の公募について 国立がんセンター

1.職名及び人数
国立がんセンター中央病院 麻酔科医師 若干名(厚生労働技官)


2.職務内容
麻酔科医師として主として麻酔を担当することでがん診療に従事するとともに、麻酔勤務以外に緩和ケアチームの活動にも若干関与することができる。


3.応募資格
以下の全ての項目を満たすものとする
(1)医師免許を有し、卒後3年以上の者
(2)がん診療に対する熱意を有し、周囲の職員と協調して推進する能力を有す者
(3)麻酔科標榜医を所有する者が望ましい

「緩和ケアも若干関与させてやっから、組織に協調できる麻酔科標榜医は応募してこいよ」的な雰囲気を漂わせているんですが、市中の半分以下の給与でこんな募集かけて、大丈夫なんでしょうか?



◇参考リンク