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保健師のまとめブログ

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後期高齢者医療制度に関する各紙の社説

後期高齢者医療制度

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後期高齢者医療制度の年金天引きがはじまった4月15日前後の新聞各紙の社説です。

高齢者医療制度 混乱の原因は“お役所仕事”だ 読売新聞(2008.4.17)

今月から始まった「後期高齢者医療制度」が混乱している。

75歳以上の1300万人が対象となる大きな制度変更なのに、国も自治体も、十分な準備や説明を怠っていたことは明らかだ。

全国の約80自治体で保険料の徴収ミスがあった。新しい保険証がいまだに届かない、という人が4万5000人もいる。

年金からの保険料天引きについても、これまでの保険料に加えてさらに徴収される、と誤解している人が少なくない。

介護保険料はすでに年金から天引きされている。同様に、保険料を窓口で払う必要がなくなったということなのに、基本的な点さえ十分に周知されていない。

昨年夏の参院選後に政府・与党が急遽(きゅうきょ)、保険料の減免策を打ち出したことも、複雑な制度をさらに複雑なものにした。

にもかかわらず、理解を求める姿勢を欠いたため、「後期高齢者という呼称からして不愉快だ」との感情論につながった。

厚生労働省はあわてて「通称・長寿医療制度」などと言い換えたが、呼称が悪かったことが問題の本質ではない。

混乱の原因は厚労省や自治体の“お役所仕事”にある。高齢者が憤るのは当然だ。

だが、新制度の是非は区別して考える必要があろう。

今後、高齢化の進行によって、医療費は大きく膨らむ。

高齢者の大半は市町村ごとの国民健康保険に加入していたことから、高齢者比率の高い自治体の国保は危機的状況にあった。保険料も市町村の財政事情によって、大きな格差が生じていた。

新制度は都道府県ごとに一本化して、財政負担を共有する。前より保険料が上がる人もいれば、下がる人もいるが、同じ県内なら保険料の格差はなくなる。

また、所得の多い高齢者には、応分の負担をしてもらう仕組みも盛り込まれた。自治体により例外はあるものの、全体として、所得の低い高齢者の保険料はこれまでより下がる。

新制度がめざす方向は超高齢時代に沿ったものだ。しかし、説明不足のままでは、高齢者が混乱するのは当然だろう。

年金からの天引きに拒否反応が強いのは、年金制度自体がしっかりしていないことや、年金の少ないお年寄りが多いためでもある。今回の混乱によって、年金改革が急務であることもまた、浮き彫りとなった。

社説:高齢者医療 広がる怒り 「うば捨て」にしてはならない 毎日新聞(2008.4.16)

高齢者が怒っている。年金からの保険料天引きが始まった後期高齢者(長寿)医療制度の混乱は、もはや失政というしかない。

次から次へと問題や不手際が噴出し、医療制度に限らず社会保障全体への信頼を大きく揺るがす事態になっている。

高齢者の怒りは大きく分けて二つに向けられている。ひとつは75歳以上を切り離した新医療制度の仕組みへの批判だ。「うば捨ての制度だ」「高齢者に早く死ねということか」という、特別扱いへの心情的な反発がある。

もうひとつは負担増に対する批判だ。「保険料の負担が増えた」「扶養家族からも保険料を取るのか」と、暮らしを圧迫される人たちから切実な声が上がっている。

国や地方自治体は高齢者の気持ちを全くつかめなかった。新制度が国会で成立して2年の準備期間があったが、制度の趣旨や保険料などについて分かりやすい説明がなかった。国会で新制度が決まれば、後はどうにでもなる、とタカをくくり、いきなり保険料の天引きに及んだ。当事者である高齢者の気持ちを逆なですれば、制度がうまく回るはずがない。

世界一の長寿国である日本で、高齢者を「うば捨て」にする政策など論外だ。新制度がそうなっていないかをチェックし、またそうならないよう監視することが必要だ。

保険料天引きの混乱について舛添要一厚生労働相は15日「一人一人、個人にとって(負担が)どうなるのか、細かく説明することが欠けていた」と述べた。その通りだ。もっと早く一人一人に通知していれば、こんなに混乱はしなかったはずだ。

高齢化によって増える医療費は、現役と高齢世代が分担し背負っていくしかない。今は、現役から高齢世代への仕送り制度になっているが、やりくりが難しくなってきた。高齢者に保険料負担を求めるのは現役の負担を軽くすることでもある。だが、厚労省はこうした新制度の趣旨を十分に説明しないまま、保険料について「低所得者は負担が軽減され、高所得者は増える傾向にある」と、一般論を繰り返した。

天引きが始まると、低所得者で負担増となる人が出てきた。従来の国民健康保険制度で市町村が独自に負担軽減措置をとっていたのが廃止され、負担増となる人がいるからだ。これでは「話が違う」と怒るのも当然だ。

厚労省は保険料が負担増となる高齢者の人数を正確に把握すべきだ。負担増となる高齢者の人数と所得の状況などが詳細に示されなければ、国民は新医療制度の評価ができない。ここまで怒りが全国に広がっているのだから、早く実態を明らかにすべきだ。

高齢者の「医療不安」和らげる努力を 日本経済新聞(2008.4.15)

新年度に始まった後期高齢者医療制度をめぐって当の高齢者の間に混乱が広がっている。保険証が届かない世帯が続出しているうえに、制度がどんなものかを知らされていない人が大半というお粗末さだ。

年金、医療など国の社会保障制度に国民が抱く不信感はかつてなく高い。病気やけがをする可能性が大きい高齢者はなおさらだ。「医療不安」といってもいい。政府と新制度を運営する都道府県(広域連合)、保険証送付を担当する市区町村は連携を密にして医療不安を和らげる努力に手を尽くすべきである。

新制度の特徴は75歳以上の高齢者1300万人を独立させた点にある。財源は(1)高齢者自身が払う保険料(2)国と地方自治体が拠出する税金(3)現役世代が健康保険制度を通じて分担する支援金――で構成する。

混乱の第1は、本人に新しい保険証が届いていない問題だ。市区町村が住所を正しく把握しておらず、自治体の担当課に返送される例が相次いでいる。受け取った人がダイレクトメールと勘違いし、封も切らずに捨てた例も少なくないという。

有効な保険証がなければ、患者は病院などで診療を受けられない。厚生労働省国民健康保険など旧来の保険証での受診を認めることにしたが、新保険証を行き渡らせる努力が何よりも大切だ。自治会組織の活用や戸別訪問も必要になろう。

混乱の第2は、保険料の徴収方法にある。介護保険と同様に、原則として厚生年金や国民年金から天引きするやり方だ。納付漏れを最小限に抑えるためにもやむを得ない方法だが、大半の高齢者がこの方法を知らなかったのは厚労省の怠慢だ。

この仕組みは2006年に成立した医療制度改革法に盛り込まれた。その後、与党が主導して07年度の補正予算で一部の保険料負担を凍結することにした。最初の天引きの日はきょう15日だ。

行政側は規定どおり天引きするのが当然と考える。だが法律の成立は2年前だ。当時、報道されていても多くの人は忘れているだろう。しかもこの間に負担増の一部凍結という重要な変更があったのに、政府は分かりやすく説明する努力を怠った。説明用パンフレットも、虫眼鏡なしでは読めないような細かな字や難解な行政用語を使っていては意味がない。それこそ税金の無駄遣いだ。

政府・自治体の一連の対応は、首相の口癖である「国民目線に立った行政」とはほど遠い。すべての関係者がそれを自覚しなければ、早晩この制度は立ちゆかなくなる。

後期高齢者医療 冷静に制度を理解しよう MSN産経ニュース(2008.4.16)

75歳以上が原則全員加入する後期高齢者医療制度長寿医療制度)が、出だしから大きくつまずいている。保険証が届かないことや保険料の徴収ミスなど混乱続きだ。

制度導入決定から2年も準備期間があった。厚生労働省はこの間、何をしていたのか。猛省を促したい。

福田康夫政権の誕生に伴い与党が昨年10月末になって、保険料軽減策を突如加えたことも準備遅れの原因となった。与党にも責任の一端はあるといえよう。

混乱がこれ以上広がれば、制度は信頼を失い、医療不安につながる。政府は制度を運営する広域連合と連携し、加入者全員分の再チェックを行うべきだろう。

周知不足も混乱に拍車をかけた。その一つが保険料負担だ。全員が新たな負担になると誤解している人も少なくない。対象者約1300万人のうち、1100万人はこれまでも国民健康保険などの保険料を支払ってきた。

扶養家族だった約200万人は新たな負担が必要となるが、2年間は大幅に軽減される。低所得者には段階的な減免も図られる。

高所得者や従来の自治体独自の減免制度から外れた人などは保険料が上がる場合もあるが、新制度移行で下がる人も多い。

15日から始まった保険料の年金天引きには批判が強い。だが、民主党の主張のように天引きをやめても、負担がなくなるわけではない。むしろ天引きは窓口で支払う手間が省ける。納付漏れを少なくするにも有効な手段だ。お年寄りにも冷静な対応を求めたい。

「天引き後の年金額では生活できない」との不安も広がっている。制度は複雑で理解しづらい。政府は戸別訪問などきめ細かな対応を講ずるべきだろう。滞納が続き必要な医療が受けられない人がいないかの把握も必要だ。

新制度は医療費の一定割合(当面10%)を高齢者自らの負担とした。医療費が高い都道府県ほど保険料も高くなる仕組みも導入した。少子高齢化で医療費はさらなる伸びが予想される。高齢者に応分の負担を求めることもやむを得まい。新制度のすべてに問題があるわけではなく、制度を廃止したところで問題は解決しない。

ただ、国民が安心して老後を過ごせる制度でなくては長続きしない。政府は制度の意義を理解してもらうと同時に、改善の努力も怠ってはならない。

発行部数の順に並んでいます。朝日新聞は15日以降に「後期高齢者医療制度」について触れた社説がないため、載っていません。

さて、産業と経済のための新聞社が制度を推奨するのは、想定の範囲内なのでどうでもいいですが
読売新聞の
「75歳以上の1300万人が対象となる大きな制度変更なのに、国も自治体も、十分な準備や説明を怠っていたことは明らかだ。」
「混乱の原因は厚労省や自治体の“お役所仕事”にある。高齢者が憤るのは当然だ。」
については、どうかと雨

たしかに法案自体は2年前に設立しましたが、実際の運営のために必要な規則や通知は、3月中旬になって通知があったり、変更があったりと、、自治体にとっては「3月になってもわからないことだらけ」な状態でした。

そんな状況で自治体に周知を求めたって物理的に不可能だっての。

次は日経の
「混乱の第1は、本人に新しい保険証が届いていない問題だ。市区町村が住所を正しく把握しておらず、自治体の担当課に返送される例が相次いでいる。」
ですが
対象者リストを出してから発送までの間に引っ越し等を行った住民については、どうしても「不在」になっちゃうでしょうが

厚労省の遅延の影響を受けた自治体を批判しても仕方ないですがな。

あと、全般に言えるのは、混乱が生じるとわかっていたくせに
3月31日まで徹底的にスルーして「周知不足批判」もどうなのかと。

一部マスコミは「保険料増」だけの人の状況を取り上げて
混乱に拍車をかけていますしね。