◇介護労働者処遇改善法が成立 日本経済新聞(2008.5.21)
介護現場の深刻な人手不足の解消に向け2009年4月までに介護労働者の賃金引き上げなどの処遇改善策を検討し、必要な措置を講じると定めた介護従事者処遇改善法が21日午前の参院本会議で全会一致で可決、成立した。月内にも施行する。
同法は介護事業者の収入となる介護報酬の09年度改定での引き上げを政府に促すことを主目的に超党派で取りまとめた議員立法。成立を受け、自民党は具体的な処遇改善策を8月までにまとめる方針だ。
「介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律」(介護従事者等処遇改善法)が5月21日に成立しました。
「産業別にみた初任給」(厚生労働省調査)によると、もっとも低いと言われている介護職ですが(2008年度の介護福祉士養成校の入学者は定員の6割未満?参照)業務内容と給与があまりにも割に合わないということで、「養成校の定員割れ」「離職率20%」と介護離れが顕在化してきています。
その状況を改善するために超党派で成立した法案が「介護従事者処遇改善法」です。
◇介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律
第一 検討
政府は、高齢者等が安心して暮らすことのできる社会を実現するために介護従事者等が重要な役割を担っていることにかんがみ、介護を担う優れた人材の確保を図るため、平成二十一年四月一日までに、介護従事者等の賃金水準その他の事情を勘案し、介護従事者等の賃金をはじめとする処遇の改善に資するための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。(本則関係)
第二 施行期日
この法律は、公布の日から施行するものとすること。(附則関係)
1条しかない法律ですが、当初、民主党提出の「介護人材確保法案」では「賃金2万円あげ」を掲げており
介護労働者の賃金を一人あたり月2万円引き上げるよう措置するため、介護労働者の平均賃金の見込み額が認定基準額を下回らない事業所を認定し、認定事業所に対して介護報酬額を加算
と具体的な内容がありましたが、「財源が安定しない」「事業所間格差が広がる(待遇改善できた事業所へのインセンティブ扱いのため、零細事業所が取り残されるのでは、という懸念)」「加算が賃金2万円増に直結するとはいえない」「加算ではなく介護報酬増で対応することが望ましい」と言ったことから(衆議院厚生労働委員会(2008.4.16)の参考人質疑における日本社会事業大学の村川教授の発言)
「検討を加え、必要なら必要な措置を2009年4月1日までに講ずる」という内容になったようです。
政府与党で8月までに「処遇改善策」をまとめるらしいので、要チェックですね。