3月の記事(「国語研、患者に通じない医療専門用語736語」)で、国立国語研究所(国語研)の「病院の言葉」について紹介しましたが、専用のページができたようです。
◇お知らせ:「病院の言葉を分かりやすくする提案」ホームページを開設しました。 国立国語研究所(2008.6.11)
病院や診療所で使われている言葉の中には,患者にとって分かりにくいものや,誤解しがちなものが,多くあります。
そのうち,重要なものを取り上げ,どのように分かりにくいのか,どんな誤解があるのかについて,調査と分析を行います。
そして分かりやすく言い換えたり説明したりする,具体的な工夫について提案を行います。
今後の予定としては、下記のスケジュールで進めていくようです。
平成20年10月頃 | 「病院の言葉を分かりやすくする提案」(中間発表) |
平成21年 3月頃 | 「病院の言葉を分かりやすくする提案」(本発表) |
平成21年 8月頃 | 「病院の言葉を分かりやすくする手引き」刊行 |
医療従事者を対象とした用語意識調査の「c−3.看護師・薬剤師 困難度順」を見てみると
困難度 | 使用率 | 必要度 | 困難率 | |
---|---|---|---|---|
1位 | DIC(播種性血管内凝固症候群) | 53.5% | 2.82% | 2.72% |
2位 | 譫妄(せんもう) | 66.1% | 3.03% | 2.61% |
3位 | エビデンス(根拠) | 52.2% | 2.53% | 2.59% |
4位 | QOL(生命の質) | 62.5% | 3.05% | 2.54% |
5位 | COPD(慢性閉塞性肺疾患) | 50.2% | 2.77% | 2.54% |
6位 | コンプライアンス(同意) | 60.5% | 2.87% | 2.53% |
7位 | EBM(根拠に基づいた医療) | 33.5% | 2.58% | 2.51% |
8位 | HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー) | 84.5% | 3.33% | 2.48% |
9位 | 膠原病(こうげんびょう) | 58.1% | 2.98% | 2.47% |
10位 | 集学的治療(複数の治療法を組み合わせる) | 25.9% | 2.48% | 2.46% |
100語のうち困難度TOP10は上記のようになっています。DIC(播種性血管内凝固症候群)やEBMは「伝わりにくいだろうな」という実感もありますが、保健指導などでも、よく使っている「HbA1c」も、困難度が高いようなので、使用する際には、補足しつつ使うことが重要みたいですね。
c−1.看護師・薬剤師 使用率順をパッと見てみると、「ステロイド」や「血栓」「誤嚥」「対処療法」と言った言葉が、「看護師や薬剤師はよく使うのに、実は伝わりにくい」言葉のようです。
詳しい内容については、10月頃に予定されている「中間発表」で明らかになると思います。
最後に、委員名簿はこちらからどうぞ→国立国語研究所「病院の言葉」委員会 委員名簿
医療側と国語研以外では、マスコミ関係(NHKと読売新聞)、法曹関係(元判事で民事訴訟法が専門)、異文化コミュニケーション専門家(同時通訳者)、福祉ジャーナリスト、患者側などが参加しています。
医療従事者のブログでは、「素人が勝手に誤訳してんじゃねーよ」って発言も見られますが、実際理解されていないわけでして、それについては、医療側が言い換えるなどの対応をしないといけないでしょ。