東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の大都市はいずれも2ケタ以上の登録があり、この9都府県だけで全体の6割以上を占めた。
小児医療をめぐっては、勤務時間外の診療が多いなど労働の過酷さや、少子化による将来性の不透明さなどから、小児科の志望者が急減。さらに新人医師が研修先を自由に選べる臨床研修制度が導入されて以降、大半は待遇が良く、症例数も多い都市部の民間病院を選ぶようになり、地域医療を支えてきた大学病院の派遣医師が減り、都市圏と過疎地の格差が一層拡大したといわれる。
産経グループの「イザ!」の記事ですが、「大都市に小児科医1年生が集まっており、地域間で格差広がる」とあります。本当にそうなんでしょうか?
総務省統計局の「統計でみる都道府県のすがた2008」によると
9都府県 | それ以外 | |
年少人口(15歳以下) | 856万人(49.4%) | 878万人(50.6%) |
総人口 | 6403万人(50.1%) | 6374万人(49.9%) |
この年少人口と新任小児科医の割合を照らし合わせてみると
「子どもが集まっている場所に、小児科医も集まっている」だけのようですが、これで「大都市に偏在している」と言い切れるものなんでしょうか?
skyteam様が「マスコミの歪んだ?報道に気をつけよう☆」で詳しく書かれていますが、「過疎の地域の医療需要は高齢者で偏り、一方の小児は都市部に5割が集まっているので、小児科医も都市部に集まった」だけのような気がします。
38道県の新任小児科医218人(新任小児科医545人の4割として計算)を275人に増やし、年少人口とバランスが取れるようにしても、増える新任小児科医は1道県あたり1.5人。
1.5人増で小児科新任の「格差」を解消すれば、「崩壊の危機にある地方の小児医療体制」がどうにかなるという記者の発想が素敵です
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