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せっかちで怒りっぽい方が虚血性心疾患は少ない?


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欧米の研究では、タイプA行動パターン(せっかち・怒りっぽい・競争心がある・積極的)を持つ方が、持たないタイプB行動パターンよりも虚血性心疾患(狭心症心筋梗塞など)を発症する危険性が高いと言われていましたが、日本の男性に限っては、「せっかちな方が危険性は低い」という報告が、7月18日に「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究(JPHC Stdy)」から出ました。

タイプA行動パターンと虚血性心疾患発症リスクとの関連 ―概要― JPHC Stuy

タイプA行動パターンの影響は、性・文化的背景によって異なる可能性

今回の日本人における検討では、欧米の先行研究における「タイプA行動パターン仮説」に反して、男性において「タイプB行動パターン」が虚血性心疾患発症リスクの上昇と関係していました。一方、女性では、欧米の先行研究と同様に、「タイプA行動パターン」を持つほど、虚血性心疾患発症リスクが上昇する傾向が見られました。生活習慣における検討では、欧米の先行研究と同様に、「タイプA行動パターン」が喫煙、多量飲酒、日常ストレスなどの虚血性心疾患危険因子と関係しており、男性における虚血性心疾患リスクの不一致は興味深い結果です。

欧米社会と比較して、強調性が強く求められる日本人社会には、せっかち、怒りっぽい、競争心、積極性、敵意性などの行動を表に見せることに否定的な風土があるため、タイプA行動パターンを持つ男性は会社の仲間などとお酒を飲みに行くことでそのようなストレスを発散している一方で、タイプB行動パターンを持つ男性はストレスを内にためこみ、虚血性心疾患リスクを上昇させている可能性があります。

今後、より詳細な検討が必要ですが、今回の結果は、行動パターンの影響が性・文化的背景によって異なることを示しています。

欧米の先行研究と今回のJPHC-Studyを照らし合わせてみると、下記のような表になりますが

○行動パターンと虚血性心疾患発症リスクの関係

虚血性心疾患のリスクになる生活習慣
   虚血性心疾患の発症リスク   
欧米男性
パターンAの方が高い
パターンAの方が高い
欧米女性
パターンAの方が高い
パターンAの方が高い
日本男性
パターンAの方が高い
パターンBの方が高い
日本女性
パターンAの方が高い
パターンAの方が高い
興味深いのが、虚血性心疾患の発症リスクに関しては、日本の男性のみ「パターンBの方が高かった(ハザード比1.3倍)」という点です。

研究班では「パターンAの男性は会社の仲間などと飲みにいくなどしてストレスを発散しているが、パターンBの男性は、ストレスを溜め込んで発症リスクを高めているかもしれない」、「行動パターンの影響が性・文化的背景によって異なることを示しているかもしれないが、今後、より詳細な検討が必要」としています。


◇参考リンク
多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究(JPHC Stdy)
せっかち男は心臓病少ない? ストレスをうまく発散 MSN産経ニュース(2008.7.18)