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透析学会「透析患者の場合、HbA1cよりもグリコアルブミン」


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透析患者の血糖管理 新たな治療ガイド作成へ 「糖尿病、別指標で」 MSN産経ニュース(2008.8.5)

糖尿病で人工透析を受けている患者の血糖を管理する際、広く使用されている指標の「糖化ヘモグロビン(HbA1c)」では誤った値が出る恐れがあるとして、日本透析医学会が別の指標「グリコアルブミン」の方が優れているとの内容を盛り込んだ治療ガイド作成を進めている。

検査項目の「HbA1c」は、糖とくっついたヘモグロビン(糖化ヘモグロビン=グリコヘモグロビン)の割合を示す指標ですので、血糖値が高いほどHbA1cも高値になります。


が、もう一つHbA1cに影響を与えるものがあり、それは赤血球の寿命です。
赤血球の寿命は約120日ほど。その間に糖化されHbA1cとなるので、血液中に長くいればいるほど、糖化されやすくなります。(柑橘類の砂糖漬けも、長く漬けている方が甘くなる理論)


では、透析患者さんの場合、なぜHbA1cが誤った値(偽低値)になるかというと、複数の理由があります。


人工透析の患者さんは、腎臓の機能が落ちているため、透析を行っています。人工透析自体は、腎臓の働きのうち、?老廃物の排出、?余分な水分の排出 について代わりに行っていますが、腎臓の大切な働きとしてもう一つあるのが?ホルモンの産生です。


その腎臓でつくられるホルモンの一つに「エリスロポエチン」という赤血球をつくるために必要なホルモンがあるのですが、腎不全の場合、この産生が不十分になってしまいます。そのため、エリスロポエチン製剤の投与を行ってますが、エリスロポエチン製剤によりヘマトクリット値が急上昇すると、HbA1cが見かけ上の低値(偽低値)になってしまいます。


あとは、人工透析の回路内への残血や溶血による赤血球破壊などによって、赤血球の寿命が短縮されると、グリコヘモグロビンになる割合も減るため、HbA1cの偽低値を引き起こす原因となります。


つまり、透析患者さんは


1.透析自体の影響
2.エリスロポエチン製剤の影響


により、HbA1cが過小評価されてしまうということですね。


ということで、透析医学会では、「腎機能正常糖尿病患者と糖尿病透析患者との比較で、余り差がなかったグリコアルブミン(GA)を、糖尿病透析患者の血糖コントロールの指標に」という内容を盛り込んだ治療ガイドの作成中のようです。

■グリコアルブミンとは?
血液中に存在するタンパク質は、グルコース等の還元糖と反応して糖化タンパク質になります。そのタンパク質部分がアルブミンのものをグリコアルブミン(糖化アルブミン:GA)と言います。糖化タンパク質の量はタンパク質が接触した糖の量と時間に比例して増減するので、過去の血糖の状態を知る上で有用な指標になります。

グリコアルブミンは、アルブミン半減期が17日であるため過去2週間〜1ヶ月の血糖コントロール状態を反映します。HbA1cに比べて早く大きく変動するので治療効果の把握や薬剤投与量の指標に有用です。不安定型糖尿病や妊娠糖尿病の血糖コントロール指標としても有用です。しかし、甲状腺機能障害のようにアルブミン代謝が変化している場合などでは低値を示します。(東芝病院より


追記(2008.12.24)

日赤の献血時の無料検査お知らせ項目に、グリコヘモグロビンが追加されます。
下記からどうぞ。


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