◇後期高齢者医療制度:「県民健保」厚労相私案 知事ら反発必至 毎日新聞(2008.10.1)
舛添私案は、赤字にあえぐ市町村の国民健康保険を都道府県ごとに再編して財政基盤を強化し、都道府県単位の広域連合が運営する後期医療と一体的に都道府県に担当させるというものだ。厚労省が長年温めている案に合致し、与党にも推す声はある。社会保障の運営母体を「年金は国、医療は都道府県、介護は市町村」に集約する構想だ。
舛添厚労相が9月30日の閣議後記者会見で記者の質問に答える形で、発表された県民健保案ですが、記者会見の概要を読んでみると、健康保険の運営をバスに例えて説明していました。斜め読みしてまとめてみると、下記のような感じです。
- 市町村国保は1800の市町村が運営しているおんぼろバス
- いつエンストするかわからないので、75歳以上専用のバスをつくった。
- が、乗客はまわりを見ると全員75歳以上、姥捨て山行きバスじゃないかと不安になっている。
- そこで、全世代を載せた大きく賑やかなバスに乗せる。これは県が運営をする。
- 赤ちゃんを乗せたバスが姥捨て山に行くことはないので、気分も落ち着くだろう。
- バスには75歳以上のゴールデンシートと65歳以上のシルバーシートがあり、若者は立っておきなさいと。
- 組合健保や政管健保みたいなマイクロバスの問題もあるので、有識者懇談会の意見も聞く、与党プロジェクトチームや総理も意見があると思いますが、厚労相としてはこういう案で、総理にも伝えている。
- 今は広域連合でやっているが、それは県が責任を持ちたくなかったから。でも広域連合になると、無責任な体制になってしまう。まさに今それがでている。だから、県単位です。そして単位が責任をもってお金を集めて、運営する。
(詳細は、上記のリンク先からどうぞ)
補足しておくと、広域連合(総務省の解説はこちら)は、複数の自治体が共同で「何かやりましょう」という時に設置する特別地方公共団体の一つです。特別地方公共団体には広域連合の他にも「一部事務組合」などがあり、こちらは消防やごみ処理などに自治体(市町村)での実施が求められているものの、「うちの自治体単独じゃ運営できない(or非効率すぎる)ので、他の自治体と一緒に運営しましょう」と複数の自治体が共同で運営するときに設置します。
広域連合の場合は、選挙管理委員会がおかれ「広域連合長」を独自に選出するなど、権限がより強くなっています。
後期高齢者医療制度については、県ごとに全市町村が集まって、「○○県後期高齢者医療広域連合」を設置していますが
都道府県 | 「後期高齢者医療制度は広域連合(=市町村)が責任を持っている」 |
市町村 | 「後期高齢者医療制度は広域連合(=県の指導を受けている)が責任を持っている」 |
広域連合 | 「うちらは実働部隊。県の指導を受けているし、決定権は広域連合長(市町村長)にあるし」 |
と、考える傾向があるとの指摘があり、「寄り合い所帯で、無責任体質になりやすい」んだそうです。