日経メディカルに第31回日本高血圧学会(2008.10.9-10.11開催)の学会ダイジェストがあるのですが、気になる記事を発見。
◇家庭血圧の自己記録は低めに書かれる 日経メディカル(2008.10.13)
高血圧診療において朝の血圧値の重要性を指摘するエビデンスは次々と示されているが、日常診療で応用するには家庭血圧の正確な記録があってこそ。しかし、患者の自己記録に任せていると、実際の血圧値よりも低めに記録されていることがしばしばありそうだ。こんな調査結果を、高知大学老年病・循環器・神経内科学教室の西永正典氏らが10月11日、札幌で開催された第31回日本高血圧学会(JSH2008)のポスターセッションで報告した。
記事によると、70歳以上の高齢者に自動血圧計を貸与し、患者の自己記録と自動血圧計にメモリーされた血圧とを比較。(記録は朝夜1回ずつを1週間・ADL等の問題はなし)
すると
朝7回の自己記録とメモリーが完全一致→37.6%
夜7回の自己記録とメモリーが完全一致→36.5%
朝夜17回の自己記録とメモリーが完全一致→22.4%
○収縮期血圧の比較
測定時間帯 | 自己記録 | メモリ |
朝 | 149.3±20.7mmHg | 151.9±22.8mmHg |
夜 | 141.0±23.4mmHg | 140.7±29.9mmHg |
朝の記録が低めに記入される傾向が確認されたとのこと。特に、朝の血圧値が高いほど、低く記入されるようです。
中には、数回測定して一番低い値を記入している方も
この調査を行った動機として西永氏は、「日常診療で家庭血圧値の自己記録を見ていて、『多くの人が、本当にこんなにコントロールがいいのか?』と疑問を感じたから」と話されています。
健診結果で血圧が高いときに「家では120ぐらいなんだけどねー」と話される方がいるので、「白衣血圧かも」と思ったりすることもありますが、「自己記録は低めに書かれやすい」ということにも、注意しないと行けないですね。