医学生に奨学金を貸与し、「数年間その自治体が指定する病院で働けば返還免除します」という制度が自治体側で流行っています。
栃木県の場合「医学生のための修学資金貸与制度」という名称で実施していますが
◇医学生のための修学資金貸与制度(平成21年度貸与者募集) 栃木県
栃木県は、産科医又は小児科医を目指す学生を応援しています!
○制度の概要
この制度は、入学金100万円(上限)及び月額25万円の修学資金を貸与するものであり、将来、栃木県職員として県内の公的医療機関等で一定期間、産科医又は小児科医として勤務することにより、その返還が免除されます。
産科医や小児科医の仕事は、日本の未来を託す子どもや女性の一生に携わる大変重要でやりがいのあるものです。
制度の趣旨を御理解いただき、是非御応募ください。
返還免除
次の2つの条件を満たした場合に修学資金の返還を免除
1 初期臨床研修を栃木県内で実施
2 産科医又は小児科医として、県の指定する公的病院等に修学資金貸与年数の1.5倍の期間(初期臨床研修期間を除く)勤務すること
知事の発言。
◇地域医療を考える県民フォーラム:知事や落合恵子氏、医師不足など議論 /栃木 毎日新聞
福田知事は、県内の公的医療機関に一定期間勤務すれば返済が免除される、今年度新設の産科・小児科志望の医大生向けの修学資金貸与制度について触れ、「10年後には県が人事権を持てる医師を40人程度確保できる」と見通しを語った。【葛西大博】
建前「学生を応援しています!」、本音「県が人事権を握る医師の確保」という感じでしょうか。
さて、「初期臨床研修」と「その後しばらく(貸与期間の1.5倍)」を
県の指定した病院で行えば、奨学金の返還が免除になりますが
大学1年生の4月*1から借りたとして考えると
貸与額は、25万円×6年=1800万円
一方、自由に職場を選べない期間*2は
初期臨床研修2年+貸与期間6年×1.5年=11年間
産科・小児科の医師一人を年間164万円のコスト増で、県が人事権を握ることができ(初期研修の2年は県は人事権持っていませんが、栃木県内での研修が義務)、他科or他都道府県で働く場合は、奨学金は利息つきで返還されるので、県にとっては、リスク0でお得な制度だと言えます。