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保健師のまとめブログ

保健師が気になった情報をまとめています。

文科省「医学生、卒後は半数が他地域流出」←調べたら他の学部も似たような結果なんですが・・

医療崩壊と報道

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最近、文科省がこんな調査結果を公表しました。


医学生、卒業後に半数流出/条件良い都市に 四国新聞(2009.2.8)

こうしたデータを同省が分析したのは初めて。33都道府県で定着率が03年度より低下したが、特に北陸や山陰、九州などの12県は20―35%と地元確保が難しくなっている状況が判明、地方の医師不足や地域偏在を示した。背景には豊富な臨床例が経験でき、条件の良い都市部などに地方の人材が集まっていることがあるとみられる。

 (略)

都道府県別(データは5%刻みで分析)で08年度の定着率が最も低かったのは島根と宮崎の20―25%。25―35%は青森、富山、福井、鳥取、大分、宮城、高知、長崎など。香川は03年度と変わらず40―45%。


「医学生の半分は条件が良いって理由で県外にいってのか、けしからん!」
「資格もっているからって、どこでも選びやがって、けしからん!」


と誘導したいのが見え見え?な記事ですが、「卒業後、県外へ」というのは、地方の大学では学部関係なくそんな傾向では?・・・ということで、調べてみました。



1.島根大学の場合

島根県:産業振興調査特別委員長報告(トップ / 島根県議会 / 県議会の動き / 過去の定例会の概要 / 平成20年9月定例会の概要)

島根大学松江工業高等専門学校卒業生についても県内就職率は20パーセント以下で、大半の卒業生が県外に就職しておりますが、こうした要因にはやはり、学生に対する地域の産業界や地元企業等の情報の提供が十分ではなく、特に求人情報が遅れがちであるという状況があり、一方で、大学・高専の研究や取り組みが県民や地元企業に対して広く伝わっていない面もあります。


2.宮崎大学の場合

教育組織の現状・取組の外部評価(PDF)

視点1−4−2 学生の就職を通じて地域社会への貢献はできているか。

在学生の本県出身は40%で、県内就職率は30%である。宮崎大学出身者には地元の人材として大いに貢献してもらいたいが、県内の就職事情を考えれば貢献度は少なくない。学生には出身学部にこだわることなく、地元のいろんな分野に挑戦し、活躍してもらいたい。大学院では、医学系研究科生の地域医療への貢献度が高まる工夫が必要ではないか。


3.弘前大学の場合

http://www.mutusinpou.co.jp/news/2008/06/2347.html

県内就職者は弘大の就職者数973人に対し、275人だった。
同センターは「全体の約半数となる470人程度が県内希望で、そのうち就職したのは275人。県内就職者数の実数は横ばいだった」と説明している。


4.富山大学の場合

http://benesse.jp/berd/center/open/dai/between/2007/10/02kikaku2_09.html

富山大学時代から地域密着の教育を重視しているが、新生富山大学の学生の富山県出身者率は34.5%(2007年度入学生)、地元富山県での就職率は37.2%(2007年5月現在)と、決して高い割合とはいえず、地域のニーズに応え切れていないのが現状だと、倉石泰理事・副学長(研究・国際交流担当)は話す。


5.福井大学の場合

平成19年度福井大学卒業生・修了生の進路状況について(PDF)

*県内企業においても製造業を中心に「業務拡大」及び「定年退職者の補充」により求人数を拡大している
【工学部卒業生】
県内就職率(平成19年度)36%(6ポイント増)


6. 高知県の場合

http://osaka.yomiuri.co.jp/university/topics/20081205-OYO8T00485.htm

県内大学の志願倍率が年々低下し、学生の県内就職率も低下。07年度時点で、高知女子大で34・6%、高知工科大で13・7%と低く、進学、就職とも県外流出が加速している。

会合では、「県外からも学生を呼び込めるぐらいの魅力がないと、都市圏の大学に学生は流れてしまう」「大学で人材を育てても、県内企業に就職口がないと意味がない」などの意見が出された。


まとめて表にすると

医学生定着率 全学部含めた定着率
島根 20-25% 20.0%以下
宮崎 20-25% 30.0%
青森 25-35% 28.3%
富山 25-35% 37.2%
福井 25-35% 36.2%(工学部のみ)
高知 25-35% 13.7-34.6%


パッと見た限りは「医学生」と「それ以外」で、地元定着率(県内就職率)に差があるとは思えませんが、なぜこの時期に出したのか・・について考えてみると、たぶん、これへの布石ですね。


臨床研修医 募集枠に上限 読売新聞(2009.2.3)

都道府県別に 見直し最終案骨子

厚生労働省文部科学省は2日、医師不足を招いたとされる臨床研修制度の見直しに向けた最終案の骨子をまとめ、両省が設置した合同の専門家検討会に提示した。検討会は今月18日の次回会合で、見直し案を最終決定する見通し。

骨子は、研修医の都市部集中に歯止めをかけるため、都道府県別に研修医の募集定員の上限を設定。従来、大学病院が担ってきた地域の医師派遣機能を再構築するため、研修病院の募集定員や指定基準を見直す――などとしている。


流れ的なものを説明すると


厚生省「医師に関しては全部、医局が権限握ってやがる。これはつぶしてやらねば」*1というわけで


臨床研修制度導入
 ↓
都会の大学病院や民間総合病院に人気が殺到
 ↓
医局弱体化・医局制度崩壊
 ↓
大学病院本体が医師不足になり派遣先から医師の引き上げがはじまる
 ↓
地域の病院医師不足
 ↓
医局にかわって医師を強制的に赴任させる制度がない
 ↓
地域医療崩壊-ing系
 ↓
臨床研修制度の見直し←今、ここ



今まで、医局の力で押さえつけていたのを、市場流動性にまかせたら、そりゃ自由に選びます。


それを、「募集枠に上限」という小手先対応で凌ぐつもりのようですが

そのために、外堀を埋める第一歩として出してきたのが、「医学生、卒後は半数が他地域流出」かな〜と思います。



追記


このニュースに関連したブログを探していたのですが、東京日和@元勤務医の日々さんのところでこんな記事を発見。


医学生の定着率:ニュースの裏側を見ると・・・ 東京日和@元勤務医の日々(2009.2.8)

戦後高度成長期に人口流出に加え、着実に人口が減っている山陰地方(島根県の人口が73万人割れ:山陰中央新報 2008/04/01)、医療需要は伸びてはいますが、実は医師は供給過多なんです。島根や鳥取県は人口があわせて150万人もいません。なのに医学部が二つあるんです。

ちなみに埼玉県なんて人口が700万人いて、医学部一つしかなかったりしますが。

山陰地方の医学生が卒業しても地元に定着しないで、大都市に流れているのはすごく問題な風に思われるかもしれませんが、山陰両県(東が鳥取、西が島根です・・・。これ、試験に出ます。間違えないようにw)では、実は「医師は余って」いたりします。


地元定着率が20-25%の山陰ですが、全国的にみると人口あたりの医師数は全国トップレベルです。

ますます、「臨床研修医 募集枠に上限」へのアレですね。