厚生労働大臣は週2回、ぶら下がりと呼ばれる記者会見を行っています*1。直接大臣をつかまえて質問できる場なので、ぶら下がりでの質問内容は、記者にとってそのとき一番興味があるものだと考えられます。
そこで、記者がどのようなことに興味を示しているのか、どのように推移しているのかが気になったので、今年1月から2月27日までの記者の質問事項を調べてみました。
月日 | 質問内容*2 |
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1.5 | ・派遣村について、受け止めと対策 ・派遣村への生活保護については自治体が基本だが国としての支援は ・派遣法改正案について |
1.9 | ・大臣は定額給付金を受け取るか ・雇用問題、契約を打ち切られた労働者への支援 ・北海道で歯科医院が無料診療 ・派遣村、施設使用期限が12日までだが対応は ・年金記録漏れ、利子つけて支給と答弁していたが法改正等が必要では ・製造業への派遣禁止について、大臣直々に経済界等へ説得する考えはあるか |
1.13 | ・内閣支持率が20%切っているが、受け止めは? ・渡辺喜美元行政改革担当大臣が離党届を出すようだが ・派遣村、100人が新しい生活、170人は仕事も住まいもなかなかという状況 ・なかなか170人の住む場所が決まらないが、行政の支援について (大臣が住居付き職4000件持っていて斡旋していると答弁) ・住み込みは職を失ったときに住居も失いというのが実際の声、その辺のミスマッチは ・厚労省のバッチが3日で完売。愛省心の高さが伺える ・製造業派遣禁止、「雇用失う懸念がある」と説明して調査したら賛成3割、反対5割 ・ワークシェアリングについて ・幹部名簿の閲覧を禁止している図書館が一部にあるが |
1.16 | ・春闘開始、ワークシェアリングについて労使間で賛否があるが ・鴻池官房副長官が官房長官から厳重注意を受けたが ・雇用拡大プロジェクトチームはどれぐらいのスパンで議論 ・プロジェクトチームには雇用均等児童家庭局も入っているが、保育の分野でも雇用創出を? ・介護の人材を手厚くすると保険料に跳ね返ってくるが ・骨髄移植キット不足、厚労省の短期的対応は? ・派遣切りの政治責任。小泉内閣時代に規制緩和したことについての評価 ・派遣切りについて金融危機のせいで労働法見直しが根幹ではないとあるが ・国立循環器病センターの人工心臓患者死亡についてまだ省に現場から報告がないようだが ・国循の「医療事故ではない」という結論に遺族は不信感を持っているが、客観性とか透明性は ・プロジェクトチームは介護以外にも、医療とかサービス分野での雇用創出は? ・年金記録漏れ、救済の遅れについての認識は? ・年金記録漏れ対策、4月から500人体制になるのか |
1.20 | ・民間議員の「フレキシブル支援センター」構想について ・政府は年度内に対応をまとめることだが、厚労省としてはいつまで ・税制改革法案附則の2011年度の消費税引き上げについて ・雇用保険法拡充の閣議決議について野党から範囲が不十分では ・製造業派遣について登録型派遣と常用型派遣、大臣は両方一律で禁止かそれとも分けてか ・常用型派遣はいいということか ・町田市でのインフルエンザ院内感染について |
1.23 | ・タミフル耐性インフルエンザへの取り組み ・労働者派遣法の見直しについて ・後期高齢者医療制度、住民が「国が一貫しない」と不安を募らせているようだが ・常用雇用とは、直接雇用?派遣法の常用型雇用? ・常用型雇用という厚労省の定義がわかりにくい ・札幌の無料診療、厚生局への回答が今日までだが納得のいく答えはあったか。相手は弱者救済として反論しているが ・兵庫社会保険事務局が入札で不適切な対応という報道があったが ・医薬品のネット販売、今後のスケジュール ・大臣直属の年金記録問題拡大作業委員会の進捗状況 ・年金がまもなく2年。大臣の「最後の一人、最後の一円まで」はいつまでに達成 ・(最後の一人、最後の一円まで)エンドレスでやるのか ・骨髄移植のキットについて |
1.27 | ・東京女子医大の補助人工心臓エバーハートの治験について、遺族が真相究明を求めている ・エバーハート開発会社の経営者と治験担当医師が親族関係 ・介護の職業訓練無料化を打ち出したが、医療や保育については? ・保育について具体的に説明 ・国会混乱で施政方針演説も本予算審議もずれている ・年金国庫負担引き上げ、消費税引き上げは未定だし、財源の安定性で懸念が |
1.30 | ・非正規労働者の雇止めが4万人増え、12万5千人 ・新卒者内定取消し1200人という集計がでている ・失業率が0.5% ・失業率急上昇を受け、雇用保険料の引き上げが政府案に盛り込まれているが ・社会保険病院と厚生年金病院の譲渡が進んでいない ・山岡民主党国対委員長の関係会社が大臣の論文を盗用 ・確認ですが、年金国庫負担引き上げは閣議決定? ・ねんきん特別便の回収状況がなかなか集まっていない |
2.3 | ・医薬品ネット販売について ・公務員制度改革について ・野党が今の与党政府では公務員制度改革が進まないと指摘しているが ・医薬品ネット販売、パブコメとるのは省令改正が前提か ・WHOが5月に「臓器移植の臓器は国内で」と指針を出すが、国内子どもへの影響が大きくなる |
2.6 | ・医薬品ネット販売のメンバーについて ・医薬品ネット販売、大臣の意見は ・医薬品ネット販売、6月の省令施行前に見直すこともあるのか ・医薬品ネット販売 あとは、ずっとネット販売関連質問なので略 |
2.10 | ・日本年金機構の新理事長について ・年金の戸別訪問7700件の調査結果 ・追徴されるから厚生年金を訂正しないという人がいるが ・内閣支持率 ・内定取消しについて ・年金、大臣直属チームの長が「今の手法では限界」と ・ねんきん特別便回収率低いが、戸別訪問を増やす考えは ・日本年金機構の新理事長、労働行政の経歴だが、難しいのでは ・新待機児童ゼロ作戦 |
2.13 | ・麻生総理の発言について小泉氏が厳しく批判、党内不協和音について ・大臣自身は麻生総理の発言をどう思う ・渡り、天下りについて ・麻生総理の「郵政民営化反対だった」発言について ・年金記録漏れ ・定額給付金、小泉氏は2/3再可決で通す法案ではないと ・安倍内閣時代に「安倍総理は裸の王様、国民感覚と遊離」と批判したが、今の麻生総理は ・自民党としての危機感 ・総理になって欲しいランキングで3位になっていたが |
2.17 | ・中川財務大臣 ・中川財務大臣、閣議で注意喚起はあったのか ・中川財務大臣は釈明したか ・介護保険の給付が制限され、逆に家族の負担が増えているのでは ・GDP戦後最悪、雇用対策について ・中川財務大臣の発言等で、いろいろやっている対策も伝わってない政権の状況 ・中川財務大臣続投を指示した麻生総理の判断 |
2.20 | ・受精卵取り違え ・小泉氏は2/3再可決欠席と明言したが ・中川財務大臣辞任、党内では麻生総理では選挙戦えないという意見もあるが ・政治家や政治家秘書の口利き ・自民党総裁は参議院議員には資格がないという意見もあるが ・内閣支持率 ・大臣として成果を残すことがポスト麻生にとって優位という見方もある |
2.24 | ・年金の財政検証、経済前提が甘いという指摘がある ・医薬品ネット販売 ・日米首脳会談に望む成果 ・民間保育所に母親が殺到している。待機児童ゼロ作戦 ・中医協前田氏、参院で不同意 ・患者団体が不同意に疑問を呈している ・ポスト麻生の中でも一定の支持があるが ・麻生内閣退陣希望が8割、現状と国民の声に対して |
2.27 | ・非正規労働者の雇い止めと、新卒内定取消し ・雇用情勢に関する総理の指示 ・待機児童 ・失業率0.2ポイント増 ・統計では半数が中途解約で違法な状態が続いている ・大臣から経団連等への指示は、行き届いているか ・銀座眼科のレーシック、全面禁止まで18日かかっているが |
雇用労働行政と政局についての質問が多く、あとは年金と医薬品ネット販売に関する質問が続いてますね。
医療系の質問は、医療事故と診療報酬に関してであり、医師不足・医療崩壊・医療制度・医療制度改革といった分野については、あまり興味がないのかな?
医師不足に関しては、文科省と厚労省の合同検討会である「臨床研修制度のあり方に関する検討会*3」や、それを受けてたたき台をつくるために設置された文科省の「医学教育カリキュラム検討会*4」、さらにカリキュラム検討会後に開催された厚労省の「医道審議会の医師分科会医師臨床研修部会*5」などの一連の会議で、「臨床研修期間の短縮化」や「都道府県別募集定員上限の設定」が着々と進められるなど、大きな変化があるのですが、記者の方はなかなか大臣に直接聞かないですね。
医師不足の記事自体は多いので、興味があると思ったのですが・・
とくに読売新聞さんは、昨年の医療改革提言で「医師を計画配置すべきだ」ということを上げ、それに対し大臣が苦言を呈しているという経緯があったので*6、今の、「計画配置を検討している流れ」が気になると思っていたんだけど。
*2:日本語的に変なところは「〜についての大臣の考えは?」とか適当につけ足して補完してください。