保健師のまとめブログ

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3月の第2木曜日は「世界腎臓デー」です


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3月13日、厚生労働省主催の「慢性腎臓病(CKD)シンポジウム〜あなたの腎臓だいじょうぶ?〜」*1が開催されました。


すっかり忘れていたので記事を探してみたのですが、なかったので、毎日新聞が事前にパネリストにインタビューした記事をご紹介。


特集:きょう世界腎臓デー 放置できぬ慢性腎臓病(CKD)−−国内患者1330万人 毎日新聞(2009.3.13)

◇早期発見が重要


国際腎臓学会と腎臓財団国際連合は06年から、3月の第2木曜日を「世界腎臓デー」と定め、「隠れ腎臓病」とも呼ばれる慢性腎臓病(CKD)の早期発見、治療の重要性を知らせる活動に取り組んでいる。今年は3月12日で、この日を前に、日本慢性腎臓病対策協議会などが講演会や検尿キット配布などのキャンペーンを実施した。CKD対策や研究の現状を、5人の専門家に聞いた。


CKDは腎機能の低下が慢性的に続く状態で、放置すると腎不全になる可能性がある。日本腎臓学会は国内のCKD患者が1330万人、治療が必要な人だけでも600万人に上ると推定している。自覚症状が表れにくいことから、治療を受けていない潜在患者が多いと見られている。


5人の専門家インタビューから保健師的に気になったところを引用

生活習慣改善で予防−−日本腎臓学会理事長・岡山大大学院医歯薬学総合研究科教授、槇野博史氏

昨年4月から実施されている特定検診では、血清クレアチニン値の測定が検査項目に入っていません。学会では、検尿やクレアチニン値の測定がCKD患者や透析患者を減らすために意義があることを科学的に立証するための委員会を設けました。

一部の自治体では自主的にクレアチニン値を測定項目に入れていますが、ぜひ、特定検診の項目に加えてほしいと望んでいます。

今後の腎疾患対策のあり方について(報告書)では、メタボはCKDの発症要因の一つとか、心血管疾患の危険因子なので「保健指導時にはCKDも意識して実施するように」とあるんですが、特定健診クレアチニン値が必須項目から外れちゃったんですよね・・、ちなみに沖縄県国保連合会はクレアチニン値を追加したので、県内にお住まいの国保加入者は、クレアチニン値もバッチリはかります。ので、推定糸球体ろ過量(eGFR)もわかります。


多職種の連携を期待−−新潟大大学院医歯学総合研究科准教授・成田一衛氏

CKDの重症化を防ぐには、早期発見、早期治療が重要です。早期発見には検尿と腎機能の把握が大切で、特に高血圧や糖尿病の方はリスクが高いので注意が必要です。

患者の診療管理計画を作るうえで不可欠なことは、かかりつけ医の方々と専門医との連携です。また医師だけではなく、看護師、管理栄養士、保健師など多職種間の連携も必要です。医師が診るのは月1回程度で、重症化させないためには、それ以上に生活習慣の改善が大事だからです。メタボリックシンドローム内臓脂肪症候群)があるとCKDが発症しやすいことも明らかになっています。

△腎疾患対策検討会作業班に参加した北海道の保健師さん*2が、面白い資料をばんばん出していました(下の方でリンク紹介してます)。CKD対策に関しては地域の保健師の取り組みも重要です。


◇重症化の防止が急務−−厚生労働省健康局長・上田博三氏

厚労省の腎疾患対策検討会は昨年3月に報告書「今後の腎疾患対策のあり方について」をまとめました。報告書では特にCKDを重視しています。CKDは生活習慣の改善や薬物療法によって進行予防が可能であるにもかかわらず、CKDの重症化防止は施策の対象として明確化されていませんでした。

そこで、CKDの普及啓発、かかりつけ医と専門医療機関との連携の促進、診療水準の向上、腎臓専門医の育成、研究の推進などにより、重症化を防止します。

今後の腎疾患対策のあり方について(報告書) - 保健師のまとめブログ2で報告書を紹介しました。


高血圧の方は要注意−−腎臓病早期発見推進機構理事長・高橋進

活動の第一は無料検診です。対象は尿たんぱくが出ていない糖尿病や高血圧の方とその家族、家族に腎臓病患者がいる方など、ハイリスクの方々です。検尿だけでは、腎機能の異常を見逃しているケースが多く、早期発見に必須の、通常の試験法で検出しえない微量アルブミン、血清クレアチニンの測定から糸球体ろ過量を算出し、国際基準で腎機能を判定しています。

これまで尿たんぱくのない約2500人の無料検診で、CKDは約25%でした。ハイリスク群を特定した検診が重要と言えます。日本人では高血圧の方がCKDのリスクが高いことが分かりました。

△高血圧は腎臓にかなりの負担をかけます。ちなみにCKD(慢性腎臓病)診療ガイド 高血圧編では、CKD時の降圧目標について「130/80mmHg未満」と明記されていました。


貧血の検査も大切だ−−日本透析学会理事、福岡赤十字病院副院長・平方秀樹氏

不思議なことに、造血を刺激するホルモン(エリスロポエチン、EPO)は腎臓で造られています。CKDになるとEPO産生が減り、貧血(腎性貧血)になります。腎機能が60%以下になると、貧血の程度が強くなり、腎臓病を進行させ、心血管病をも悪化させることが明らかになっています。

腎性貧血は人工的に造ったEPO製剤で治療可能です。EPO製剤を注射するとHbが上昇し、腎機能の低下が抑えられるだけでなく、心血管病の防止にもつながる可能性があります。これはすばらしいことです。

たんぱく尿や血尿のチェック、血清クレアチニン値の測定に加え、Hbも検査してほしい。貧血がないかどうかをチェックしてほしいと思います。

△Hb(ヘモグロビン/血色素量)も、特定健診の項目からカットされてしまったんですよね・・



◇CKD(慢性腎臓病)カテゴリの記事一覧
[CKD(慢性腎臓病)]記事一覧 - 保健師のまとめブログ2


◇腎疾患対策検討会作業班の議事録とか
第1回資料第1回議事録
第2回資料第2回議事録
第3回資料第3回議事録