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読売「3回以上問い合わせしたら、たらい回し」


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重症患者の3・6%「たらい回し」…昨年の救急搬送 読売新聞

総務省消防庁は19日、2008年に救急搬送された患者について、医療機関の受け入れ状況の調査結果を発表した。

重症患者(入院3週間以上)の3・6%にあたる1万4732人が3回以上断られていた。前年(3・9%)比微減で、「たらい回し」問題は依然、改善されていない。

記事中にある調査結果はこちらからどうぞ→平成20年中の救急搬送における医療機関の 受入状況等実態調査の結果(平成21年3月19日)PDF


「たらい回し」という言葉に「○回以上受け入れできなかったら」と言った定義はありませんが(というより、たらい回しという言葉自体が不適切であり、実態は、受け入れ不可能・受け入れ不能です)、昨年2月のNHKニュース*1では下記のようになっていました。



NHKでは20病院以上に要請した場合を「たらい回し」。それが読売新聞では3回で「たらい回し」扱いです。


データ自体は
「重症患者の96.4%、41万人が搬送要請3回以内で受け入れできている」と読み取ることも可能ですが、読売フィルターがかかると「重症患者の3.6%『たらい回し』」となるようです。


読売では、救急搬送された記者(医療担当)が、医師から「オペは週明け」と説明されたときに、「オレは新聞記者だ」と言って当日に緊急オペさせる*2ぐらい救急医療にはこだわりがあるようなので、こういった表現になるんでしょうか。



記事の後半では、受け入れ拒否の理由(正しくは、受け入れできなかった理由です)について触れられています。

医療機関が受け入れを拒否した理由は、「処置困難」22%、「手術や診察中」21%、「ベッド満床」20%の順で多かった。

補足。総務省消防庁が使用している「処置困難」ですが、「平成20年中の救急搬送における医療機関の 受入状況等実態調査の結果」によると

「処置困難」とは、医療機関が、傷病者の症状に対処する設備・資器材がない、手術スタッフが不足している、傷病者の症状から手に負えないことを理由に受入れでき ないと回答したものをいいます。

という意味で使っているようです。


つまり、受け入れ拒否の理由とされている内容は

22% 設備機材・スタッフ・傷病者の状態から判断して対応できない
21% 別の患者さんの対応中
20% 満床のため入院できない

であり、受け入れできるのに拒否しているのではなく、受け入れできない状態です。現場でどうこうできるレベルではなく、政治・行政レベルでの対応がないとどうしようもできない状況で、病院バッシングしても、ますます悪化するだけですが、マスコミはいつまで「たらい回し」と言い続けるんですかね〜

P.S

この「できないのに拒否したとバッシング→ますます悪化」という状況を、うまく表現している方がいらっしゃいました。


ぷにっと囲碁!なブログ

10リットルまでの水しか入らないバケツには、11リットルの水は入りきれません。

1リットルの水がこぼれてしまった事で、周囲の人間が「なんだこのクソバケツ!」と足蹴にしたら、

バケツが凹んで、10リットル入れられたはずの物が、9リットルまでしか入らなくなりました。

…っていうのが、今の日本の医療崩壊(ていうか、マスコミによる医療破壊)の現状。

教訓とかそういう以前の問題。

読売は、「15リットルはいらねーじゃないか」と蹴り飛ばして、7リットルしか入らないバケツをつくるのが目標のようですが。