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新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)とN95マスク


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関連記事(2009.5.22)


鳥と思っていたら豚がパンデミックを引き起こしそうな状況になっていますね。


WHO 豚インフルで緊急委へ NHK

豚インフルエンザをめぐり、WHO・世界保健機関は当初28日に開催を予定していた各国の専門家による緊急委員会を1日前倒しして、27日午後日本時間の27日午後11時から開催することを決めました。WHOは日本時間の28日未明に記者会見して会合の結果を発表するということです。新型インフルエンザへのWHOの警戒レベルは6段階に分けられ、現在はヒトからヒトへの感染がほとんど見られない下から3番目の「フェーズ3」ですが、これがヒトからヒトへの感染によって世界的な流行につながるおそれがあるとする「フェーズ4」に引き上げられるかどうかが、焦点となっています。


ブルームバーグには「WHOに詳しい匿名情報」というソースですが、こんなのもあがっています。


WHO:豚インフルエンザで警戒レベル引き上げへ−関係者(2) Bloomberg.co.jp

4月27日(ブルームバーグ):世界保健機関(WHO)は27 日に、豚インフルエンザ流行に関する警戒レベルを前例のない水準まで引き上げる。WHOの事情に詳しい関係者2人が匿名を条件に明らかにした。


WHOの警戒水準は現在、6段階中の3。4以上はWHOが1999 年に段階別の警戒レベル制を導入して以来で初めてとなる。WHOの指針によれば、レベル4は「新ウイルスの一定地域への封じ込め、または拡大の遅延」を目的とする。レベル4に引き上げられた場合、旅行への警告につながる可能性が高い。


ところで、一般の方で心配して「N95マスク」を買い求めている方がいるようですが、N95マスクは感染患者と濃厚接触する医療従事者向けのマスクであり、日常生活での使用には向いていません。


というのも、正しく装着すると息苦しくて日常生活なんて送れないからです。



○N95マスクとサージカルマスクの違い

名称 N95マスク 不織布製マスク(サージカルマスク)
画像
住友3M 使い捨て式防じんマスク DS2 8210JDS2
3M スタンダード 耳掛け式 フェイスマスク  50枚 1827J
タイプ 医療従事者向け 一般家庭向け
備考 正しく装着しないと意味がない。
密閉性が高く、長時間装着していると息苦しくなったりも。
日常生活での使用には向いていません。
病院でも標準予防策として使用されているマスクです。
厚労省は、一般の方に対してはこちらを推奨しています。


食料マスク備蓄、外出控えて 新型インフル家庭の対策は 朝日新聞(2008.10.15)

マスクは、繊維や糸を熱などで接着させた「不織布製マスク」を1人あたり20〜25枚を目安に備蓄するよう勧める。薬局などで市販され、市販マスクの9割以上がこのタイプ。発生時には原則外出を控えるが、やむを得ず週2回外出するほか、自らが発症した時に使用する分も入れて2カ月分の計算だ。


ガイドラインでは、密着性の高い防護マスク「N95」や、綿織物を重ねた「ガーゼマスク」についても検討した。その結果、N95は、長い時間着用すると息苦しくなるため日常生活に適さない、と推奨しない。ガーゼマスクは、せきやくしゃみを遮断する効果が低い、という。


言い換えると


N95マスクをつけて日常生活できる=装着方法が間違っていて空気が漏れまくり=ウイルスを防げていない


という構図であり、一般の方にはあまり向いていない製品ですね。


ちなみに、記事中にあるガイドラインについては、厚生労働省の新型インフルエンザ関連ページからどうぞ→「個人および一般家庭・コミュニティ・市町村における感染対策に関するガイドライン(PDF)



また、「新型インフルエンザ流行時の日常生活におけるマスク使用の考え方(PDF)」でも

(3)マスクの分類とその性能
マスクは、一般的に、家庭用マスク、医療用マスク、産業用マスク等に分類される。国民が日常生活において使用するマスクは、家庭用マスクに分類される。主な家庭用マスクには、不織布(ふしょくふ)製マスクとガーゼマスクの2種類がある。新型インフルエンザ発生時に使用する家庭用マスクとしては、不織布製マスクの使用が推奨される。
より高い密閉性が得られるマスクとして、N95マスクや防じんマスクDS2と呼ばれるものがある。しかし、これらは医療用や産業用として用いられるものであり、使用にあたっては、使用方法に関する十分な教育や装着後のフィット(顔とマスクの密着性)の確認等が必要となる。また、不適切に着用すると期待される効果は得られない。すなわち、現段階では、これらのマスクは、新型インフルエンザの感染予防策として、日常生活において使用することは想定されていない。

N95マスク(防じんマスクDS2)は、一般に症状のある人の使用は不向きであり、咳エチケット用としては不適切である。
家族内で新型インフルエンザに感染した者を世話する等、感染者と濃厚な接触が避けられない場合は、医療従事者以外の者も、N95マスク(防じんマスクDS2)を使用することは、適切な教育・訓練が行われることを前提として今後も検討する価値があると思われる。

となっており、「新型インフルエンザに感染した家族の看病をする」or「感染者との濃厚接触が避けられない」といった場合は「つけた方がいいかもね」という程度です。


インターネットの通販業者などでは「医療機関でも使われている」「WHO推奨」とサージカルマスクよりもN95マスクを勧めていたり、なかには「対応する医療スタッフはN95マスクの着用が推奨されている。普通のマスクでは危ないのだ」と不安を煽るような文句を使っているところもありますが、まずは、不織布マスク(サージカルマスク)の備蓄をおすすめします。


クルマで例えると、N95マスクはF1マシンみたいなものであって、レースという環境ではいいのですが、日常生活(通勤通学買い物など)で使うのには、向いていないという感じでしょうか。



◇新型インフルエンザ関連記事