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老人保健制度に出戻り?後期高齢者医療制度に変わる新制度の厚労省案


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何かと評判の悪い後期高齢者医療制度。制度改正に向けて様々な動き*1 *2 *3が見え隠れしますが、そもそもなぜ後期高齢者医療制度が導入されたかというと


特定健診・特定保健指導情報(1)保険制度の概要(2007.11.12)


この図は、左側が現在の老人保健法による医療制度、右側が後期高齢者医療確保法が始まってからの医療制度を比較した図です。

旧制度(老人保健法)では、75歳以上の高齢者は、それまでの保険に加入しつつ市町村が運営する老人保健制度で医療を受けるというちょっと変わった仕組みが取られていました。


◯旧制度での医療費の負担内訳

75歳未満 自己負担+残りは加入している保険者
75歳以上 自己負担+残りは、加入している保険者が半分、公費が半分

「保険者負担の半分を公費から出しますよー」という感じです。
(実際は各保険者からの老人保健拠出金と公費で半々なので、雑把すぎる説明ですが)

が、ここがものすごい赤字で「ここままではやっていけない」という財政的な問題と「現役世代の負担が大きい」「同じ75歳以上でも、国保加入者には保険料が発生して、被用者保険の被扶養者*4には保険料が発生しないなどの差がある」という制度的な問題があったため「75歳以上は、別の保険にしよう」と始まったのが、後期高齢者医療制度

ここで大事なのが理由の一つとして「老人保健制度を運営している市町村の財政がもたないよ」があったと言う事ですね。

なので

高齢者医療、65歳以上は国保に加入 厚労省が新制度素案 日本経済新聞(2010.1.12)

厚生労働省は、65〜74歳と75歳以上を区分した現行制度に代わる新しい高齢者医療制度の素案をまとめた。65歳以上は原則として、自営業者や無職の人が加入する国民健康保険国保)に加入する。

を見たときは「市町村の財政が持たないから新制度作ったのに、市町村が運営する国保に加入ってどういうこと?」かと思ったのですが

ただ、現役世代とは別勘定とし、医療の実態にあわせ、応分の負担を求める。保険料率は都道府県単位で決める。 2013年度の創設を目指すが、負担の調整で曲折も予想される。

「別勘定」「応分の負担」とちょっと気になる単語がありますね。


さて、この「市町村国保案」を出してきたのは、記事によると「厚生労働省」とのことですが、一方で長妻大臣が主催する「高齢者医療制度改革会議」では「都道府県単位案」が多数派でした。


「保険者は都道府県単位に」が多数意見−高齢者医療制度改革会議 CBニュース(2010.1.12)

厚生労働省は1月12日、後期高齢者医療制度に代わる新たな医療制度の在り方を議論する「高齢者医療制度改革会議」(座長=岩村正彦・東大大学院法学政治学研究科教授)の第2回会合を開き、委員が提出した資料などを基に全体的なフリーディスカッションが行われた。運営主体について委員からは、保険者は都道府県単位にすべきとの意見が多く出たほか、事務局に対し、具体的な議論のために必要な資料を求める声も上がった。

日経記事にある厚労省 市町村国保
厚労相主催の改革会議での多数案 都道府県単位

この微妙な違いが気になったり、ならなかったり。事務局の資料を読んでいると、老人保健制度に戻すことだけは避けたがっていたりと、要チェックですね。