とりあえず、現行の予防接種法をまとめてみるとこんな感じ。
分類 | 1類(定期接種) | 1類(臨時接種) | 2類(定期接種) | 2類(臨時接種) |
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目的 | 発生及びまん延を予防する | まん延予防上緊急の必要がある | 個人の発病又はその重症化を防止、併せてまん延を予防に資する | まん延予防上緊急の必要がある |
対象の疾病 | ジフテリア・百日せき・急性灰白髄炎・麻しん・風しん・日本脳炎・破傷風・その他政令で定める疾病 | 一類疾病のうちまん延予防上緊急の必要があるもの | インフルエンザ | 二類疾病のうちまん延予防上緊急の必要があるもの |
接種の実施 | 市町村長は保健所長の指示を受け、期間を定めて予防接種を実施しなければならない | -知事は対象者と期間を定めて実施、または市町村長に実施するよう指示できる。 -厚労大臣は予防接種を知事に行わせることができる。 |
市町村長は保健所長の指示を受け、期間を定めて予防接種を実施しなければならない | -知事は対象者と期間を定めて実施、または市町村長に実施するよう指示できる。 -厚労大臣は予防接種を知事に行わせることができる。 |
接種対象者の努力義務 | あり | あり | なし | あり |
健康被害の救済措置 | 予防接種法第12条第1項 | 予防接種法第12条第1項 | 予防接種法第12条第2項 | 予防接種法第12条第1項 |
実費徴収 | 可能 | 不可 | 可能 | 不可 |
- 1類はと2類は1類が「感染拡大の予防」を大きな目的としているのに対し、2類は「個人の発病と重症化の防止」をはじめに掲げているという違いがありますね。
- 1類(定期・臨時)と2類(臨時)については、対象者・保護者に対し、「予防接種を受けるように」という努力義務があります。
- 健康被害時の救済措置については、2類(定期)だけが別項になっていたり、「死亡一時金」が「遺族年金又は遺族一時金」に変わっているなど違う扱いをされています。(金額が変わってくるのかな?)
調べてみたら、金額が異なってました。(医療費や年金については調べてません)
死亡一時金 | 遺族一時金 |
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4270万円 | 710万円 |
なんだろ、この差。ちょっと脱線したので、今日のニュース。
病原性が高くない新型インフルエンザに対応した新たな臨時接種を創設することなどを盛り込んだ改正予防接種法は7月15日の参院本会議で、全会一致で可決、成立した。
改正法によると、行政は新たな臨時接種の対象者に対し、接種を受ける努力義務は課さないが、接種を「勧奨」する。
法改正に伴う今後の政令改正では、新たな臨時接種による健康被害が生じた場合の救済金額を「2類定期接種(季節性インフルエンザ)」の水準よりも引き上げる。
これまで予防接種は1類(定期)・1類(臨時)・2類(定期)・2類(臨時)の4つに分類されていましたが、病原性の高くない新型インフルエンザ用の新しいカテゴリーを作ったようです。
・・参院に上がった改正案を見ると、ちょっと違った。
新型インフルエンザはインフルエンザってことで「2類」。だけど、2類(臨時)ではなく「2類疾病のうち罹った場合の病状の程度を考慮する」ってことで、2類(新たな臨時)というカテゴリになっている。
分類 | 1類(定期) | 1類(臨時) | 2類(定期) | 2類(臨時) | 2類(新たな臨時) |
---|---|---|---|---|---|
接種対象者の努力義務 | あり | あり | なし | あり | 勧奨 |
実費徴収 | 可能 | 不可 | 可能 | 不可 | 可能 |
「臨時にして無料で接種努力を義務付けするほどではないが、定期よりは接種させたい。けど財政措置は避けたい」という妥協の産物が「2類(新たな臨時)」っぽいですね。