公務員は基本的に兼業禁止です。職務に専念する義務があります。
◇国家公務員法第101条(職務に専念する義務)
職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給与を受けてはならない。
第2項
前項の規定は、地震、火災、水害その他重大な災害に際し、当該官庁が職員を本職以外の業務に従事させることを妨げない。
◇国家公務員法第103条(私企業からの隔離)
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
第2項
前項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。
◇地方公務員法第35条(職務に専念する義務)
職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
ちなみに国家公務員法には「法律又は命令の定める場合」、地方公務員法には「法律又は条例に特別の定がある場合」とありますが、これは管理者の許可を得た上で「繁忙期に実家の農業を手伝う」「人間ドックを受ける」「消防団員が消防活動に参加する」とかそんな感じです。
さて、国会議員や地方議員も公務員(特別公務員)ですが
国家公務員特別職 | 内閣総理大臣・国会議員・政務官・国会職員・裁判官及び裁判所職員・自衛官など |
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国家公務員一般職 | 特別職以外の一切の職(検疫官や厚労省の看護技官はこちら) |
地方公務員特別職 | 首長・地方議員・議会の同意が必要な職(副知事・副市長・教育長など) |
地方公務員一般職 | 特別職以外の一切の職(公立病院の看護師や自治体の保健師はこちら) |
こちらは「実業家兼国会議員」や「開業医兼地方議員」が普通にいます。「あれ?法律で兼業禁止されているんじゃないの?」と思うかも知れませんが、実は
◇国家公務員法第2条(一般職及び特別職)
第4項
この法律の規定は、一般職に属するすべての職(以下その職を官職といい、その職を占める者を職員という。)に、これを適用する。人事院は、ある職が、国家公務員の職に属するかどうか及び本条に規定する一般職に属するか特別職に属するかを決定する権限を有する。
第5項
この法律の規定は、この法律の改正法律により、別段の定がなされない限り、特別職に属する職には、これを適用しない。
◇地方公務員法第4条(この法律の適用を受ける地方公務員)第1項
第1項
この法律の規定は、一般職に属するすべての地方公務員(以下「職員」という。)に適用する。
第2項
この法律の規定は、法律に特別の定がある場合を除く外、特別職に属する地方公務員には適用しない。
国家公務員法も地方公務員法も特別職は適用除外されているんですよね。なので国家公務員法・地方公務員法の職務専念義務は特別職である議員には適用されません。
とは言っても
◇地方自治法第92条
普通地方公共団体の議会の議員は、衆議院議員又は参議院議員と兼ねることができない。
第2項
普通地方公共団体の議会の議員は、地方公共団体の議会の議員並びに常勤の職員及び地方公務員法 (昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十八条の五第一項 に規定する短時間勤務の職を占める職員(以下「短時間勤務職員」という。)と兼ねることができない。
◇地方自治法第92条の2
普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。
と別の法律で兼業が禁止されているのもありますし
◇秩父市長政治倫理条例第2条(市長の責務)
と、条例で倫理上の縛りをかけているところもあります。
あとは、特別職の職責を疎かにしていると選挙で・・・というのもありますね。