保健師のまとめブログ

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業務上知り得た秘密と家族の会話


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メディカルオンラインの「医療裁判紹介バックナンバー」にあった記事「看護師の守秘義務違反と病院の責任」の中に、気になる記載があったので、ご紹介します。

医療裁判の概要としては、下記のような内容です。

看護師の守秘義務違反と病院の責任(PDF) 医学文献検索サービス -メディカルオンライン]

【概要】
ユーイング肉腫に罹患し病院に入通院していた女性患者(当時19歳)の病状や余命等を,同病院の看護師 が自分の夫に話し,その夫が病院外で患者の母親に告知した。これを受けて,患者の母親が,秘密が漏洩さ れたことを知り精神的苦痛を受けたとして,病院に対し,慰謝料300万円を含めた計330万円の損害賠償を請 求した事案である。
裁判所は,秘密漏洩が看護師の不法行為に当たるとした上で,病院の使用者責任を肯定し,母親の請求を 一部認めた。

守秘義務について

保健師・助産師・看護師(准看護師含む)には、法律で守秘義務が定められています。
免許や業務について定められている保助看法の中で規定されているかと思いきや、助産師だけは「刑法」にて別に定められています。
生死に関わること(人の死を判断できるのは、医師と助産師*1のみ。)と開業できることが影響しているのかもしれません。

該当する条文は下記のようになります。

刑法 法134条第1項:医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
保助看法 法第42条の2 :保健師、看護師又は准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師、看護師又は准看護師でなくなつた後においても、同様とする。
同法第44条の3:第42条の2の規定に違反して、業務上知り得た人の秘密を漏らした者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

なお、根拠法が刑法か保助看法かの違いはありますが、どちらも「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する」と、罪の重さは一緒です。

法律と職業倫理

このように法律上の制限及び「職業倫理」により、業務上知り得た内容については、他言してはいけないものだと捉えていたのですが、判例を斜め読みした範囲では、少しだけ違うようです。

【裁判所の判断】
(略)
もとより,夫婦間の会話において,互いの職業上体験した事実が話題になることはあり得ることである。 しかし,Aの病状の重大性からすると,大変重い病気にかかっているという事実や余命については,医師がその判断によって本人やB等の親族に告知する以外の方法でこれが明らかにされることを避けるべき必要性が高く,高度の秘密として秘匿すべきことはいうまでもない。このように秘匿すべき程度の高い秘密を,その個人が特定できる形で漏洩し,そのことが伝播する可能性を認識しながら口止めもしなかったというのは,軽率のそしりを免れない。

これを素直に解釈すると、個人が特定されないような形であれば(特定される形であっても口止めをしておけば)、夫婦間の会話として職務上知り得た秘密を話してもOK・・・と・・・なっちゃうような気もするんですが、うーん・・・どうなんだろ。

「夫婦であっても駄目なものは駄目」でも、いいような気も・・・


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*1:胎児