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舛添厚労相、社会保障カードは年内に基本構想をまとめる


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平成19年9月11日付閣議後記者会見概要 厚生労働省
閣議のあとにはそれぞれの大臣が記者会見を開くのですが、11日の閣議後記者会見にて「社会保障カード」の話題がでていました。

舛添厚労相
社会保障カード導入部会を、既に設置をいたしました。そこで、今、基本的な制度設計を決めるために、年内に基本構想をまとまたいと思います。とにかく、社会保障に関係する、年金から、健康保険から、それを、要するに、一枚のカードにすると、外国で言うソーシャルセキュリティナンバーということなんですけれども、社会保障番号。そのために、社会保障カードのあり方に関する検討会、この問題の検討会、有識者を集めて、今、それを立ち上げることに決めました。9月末に第1回の会合を開きたいということで、今、人選を含めて、早急に指示をしたところであります」

まとめてみると

社会保障カードについて

  • (1)社会保障カード導入部会を設置済み
  • (2)年内に基本構想をまとめたい
  • (3)年金・健保など社会保障に関するものを1枚のカードにする。
  • (4)ソーシャルセキュリティーナンバーみたいな社会保障番号の導入
  • (5)「社会保障カードのあり方に関する検討会」の初回会合を9月中に実施

というのが、大臣の考えのようです。

つづき・舛添大臣
「それで個人情報はどうなんだ、本当に便利なのか、問題ないのかと、そういうことを検討したいと思います。その検討で、今、私が指示したのは、三つぐらいのことを中心に検討しろと。一つは、やっぱりプライバシーの保護とか、セキュリティ確保をどうするかと。それから、二番目は、どういう制度設計にして、どういうインフラを整備するのかと。じゃあそのカードを持って行って、それぞれの市町村で、そのカードをどういう形で使うんだろうかと、そのためのインフラをどうするかと。ちょうど皆さん方、今、住民票の窓口に行かなくて、自分のカードを入れて、マシンで出ますね、ああいうこと。そうすると、そのマシンを整備するというようなことがあって。それから、三番目は、コストですね。どういう費用分担をするのかと、国民はどれだけ負担するんですか、国はどれだけ出すんですか、じゃあ市町村はどうですかというようなことで(略)」


9月に行う初回会合では

  • (1)セキュリティーとプライバシーの確保をどうするか
  • (2)制度設計とインフラ整備
  • (3)国と自治体の費用負担

について、検討するように大臣は指示を出しているそうです。


さて、このいきなりでてきた感のある社会保障カード。実は、厚労省が今年の3月に経済財政諮問会議に示した「健康ITカード」が元になっています。


健康保険証をICカード化 データベース診療へ 産経新聞

厚生労働省は16日、経済財政諮問会議に対し、平成23年度をめどに健康保険証をICカード化し、医師が患者の病歴や受診内容を簡単に見られるようにする「健康ITカード」(仮称)構想を示した。

もともと、健康保険証は、平成23年に今の「被扶養者も一緒に掲載」の三つ折り紙式から、個人単位のICカードに切り替わるのは決定していました。
「個人で1枚なら病院行くときに、親父が出張に持って行っていて手元ないのが一人一枚になって便利」と国民の利便のためっぽい印象もありますが、実はICカードにすることと、レセプト情報オンライン化・健診データオンライン化の3つが組み合わさることで「安全な医療の提供」と「医療費削減」が可能になるという国・自治体・医療機関にとってのメリットもあります。

  • 「いつもは○○クリニックに行っているけど、腰が痛いので専門の病院に行こう」と他の医療機関にいってもオンライン化されたレセプト情報を見ることで「受診歴」や「アレルギーの有無」がわかり、安全に治療できる。
  • 複数の医療機関にかかっている患者に対して、他の医療機関でもらった薬歴を見ることができるので、併用禁忌などが防げる」
  • 「検査やクスリの重複を避けることができるので医療費の無駄が減る」
  • ドクターショッピングしている患者がわかるので医療費の無駄が減る」


といった感じです。


医療費削減は「社会保障費をカットして、企業に(減税なのど形で)回せ」という財界(経団連)の意向にもそっているため、「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム(8月21日の記事)」にも書いているように、健康ITカードは経済財政諮問会議も太鼓判wなツールとなっています。


で、当初は「健康ITカード」として、健保・レセプト情報・健診データが組み合わさったカードになる予定だったのですが、「浮いた年金問題」が出てきたため、「健保・レセプト情報・健診情報+年金」という「社会保障カード」が出てきた


という流れです。


「健保+レセプト情報+健診情報+年金」を運営できるシステムってもの凄いお金がかかる(システム屋にとっちゃ、もの凄いお金をゲットできる)んでしょう・・・医師の待遇改善に回せと小一時間・・。


ちなみに、レセプト情報と健診情報が突合できるって、統計的・公衆衛生的にはすごくいろんな有益な情報が集まりそうなんですが、財界も積極的ってところが気になるんですよね・・・

レセプト情報というのは 医療機関からあがる「病名が何々でこんな検査と治療をして、こんなクスリを処方しました」という情報
健診データというのは 「○○さんの平成×年×月×日の健康診査の結果は、中性脂肪が○○、LDLが○○、尿酸が○○」といった検査値

この2つを使うと、とあるところにAさんという方がいたとして、Aさんの健診データとレセプト情報が

平成20年9月の健診データ 空腹時血糖値が142mg/dl、HbA1Cが6.2%
平成20年11月のレセプト情報 ○○病院で糖尿病と診断され治療が始まる
平成21年5月のレセプト情報 ○○病院で糖尿病の治療中
平成21年7月のレセプト情報 ○○病院で糖尿病の治療中
平成21年9月の健診データ 空腹時血糖が155mg/dl、HbA1Cは6.6%
平成25年5月のレセプト情報 透析開始

こんな風に一元管理することができます。


これを財界の視点で見てみると「○○病院は治療しているのに、人工透析導入になってしまった。○○病院は効果のない治療をしている無駄遣い病院だ!」と捉えるかもしれません。


他の病院との比較もシステムによっては簡単にできそうですし、なにより治療の結果が簡単に時系列でわかっちゃうし。
最近、「腕がある医師もそうでない医師も診療報酬は一緒、むしろ下手の方が儲かる。技術によって差をつけるべきだ」と発言しているコメンテーターとかがいたので、このデータが使われてしまいそうな気もします。


けどさ・・・生活習慣病は本人が行動変容してくれないと、支援者がいくら介入しても無理っぽいっす