メタボリックの診断基準でいろいろもめていますが、厚労省の「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」の後ろの方にある「添付資料:関係学会におけるガイドライン(抜粋)」のはじめ(ややこしくてすみませn)に載っている、「メタボリックシンドロームの定義と診断基準 編:メタボリックシンドローム診断基準検討会」に、検討委員会側の根拠がかかれています。
まとめると
1.内臓脂肪面積が100平方cmを超えると健康障害のリスク要因が急に増える
2.内臓脂肪面積を求めるために、健診でCTやるわけにも行かないので、他の方法を考えよう
3.ウエスト径から内臓脂肪面積を求めることに。結果は男性85cm、女性90cmのとき内臓脂肪面積が100平方cm*1
4.だから、ウエストの基準は男性85cm、女性90cm
という感じです。(健診でCTやるわけにもいかないしね、費用的にも被曝的にも)
○資料1:内臓脂肪面積とリスクファクター数の関係図
出典:メタボリックシンドロームの定義と診断基準 編:メタボリックシンドローム診断基準検討会
○資料2:内臓脂肪面積とウエスト径の関係図
出典:メタボリックシンドロームの定義と診断基準 編:メタボリックシンドローム診断基準検討会
ただ、これに否定的な方も多く
上のグラフは、「内臓脂肪面積とリスクファクター数の関係」を棒グラフじゃなくて線グラフにした資料なんですが
これを元に
「内臓脂肪面積とリスク要因数は100平方cmでスパっと切れるものじゃなくて、正比例の関係」
「100平方cmにするために、(資料1で)100未満と100-125という区切りにしたんじゃねーか」
とか
「(資料2について)女性の数が少なすぎる。信頼性あるの?」
「うちの研究では男性を90cm、女性85cmという結果になったぞ」
といった意見が多くあります。
また
「メタボで予防しても医療費削減につながるというデータがない」
「インピーダンスで計測した内臓脂肪量って、あてになるのか?」
「健診屋やソフト屋に金が流れるだけで、医療費増は防げない」
といった「そもそも論」も多くありますしね。
流行語にもなった「メタボリックシンドローム」。
「広告代理店が絡んでいるこの『流行語大賞』で、取り上げられたのは、メタボが企業にとって金になるから」と言った意見もあり、また「メタボを予防して健康で長生きしても、医療費の大半は終末期で消費されているのだから、医療費削減効果はない」といった意見も多くあります。
確かに、この指摘には、納得できるのも多いのですが・・・
大半が自治体や健保組合に所属する保健師としては、国の「特定健診ペナルティ」に対応するのが、優先ですので、これにつきあっていくしかありません
果たして、国が保険者に「ペナルティ」を与えてまで、徹底的に減らす予定の「メタボリックシンドローム」
その実践の結果があきらかになるのは・・・何年後のことなのでしょうか。