保健師のまとめブログ

保健師が気になった情報をまとめています。

厚労省が保団連に的外れ?な抗議文


下のバナーをぽちっと押していただけるとブログ作成の励みになりますm(_ _)m↓
やる気成分が2mgぐらい増えます。

看護 ブログランキングへ

厚労省の怒りのベクトルが変な方向を向いている上に、怒りの根拠は、厚労省自身の「勘違い」というグダグダが起きているようです。


外来管理加算5分ルールの根拠資料(厚労省提出)はねつ造? - 保健師のまとめブログ2(2008.6.15)のつづきです。


○これまでの経緯
4月の診療報酬改定で外来管理加算要件の「5分ルール」が導入されましたが、厚労省が「ほとんどの内科診療所は5分以上の診療だから導入しても影響ないでしょ」と説明するために参考資料として提出した「内科診療所における医師1人あたりの、患者1人あたり平均診療時間の分布」



▲これ


について、全国保険医団体連合会(保団連)が情報開示請求したところ、「平成19年度厚生労働省委託事業 時間外診療に関する実態調査結果」の数値をもとに作成されたグラフであることが判明しました。


で、何が問題になっているのかというと

1.データの取り方自体が不適切
2.調査結果の目的外使用の疑い

の2点です。

1.データの取り方自体が不適切

まず、時間外診療の平均診察時間を元に「内科診療所の平均診察時間は5分以上が9割だった」と結びつけていること自体が、おかしいです。
時間外診療の場合、初診や救急の方が多いため、診療時間は長くなる傾向にあります。それを「内科診療所の平均診察時間は・・」と言っているのは、「スポーツ選手のBMIを調べるために、相撲力士の体重を調査しました。その結果、スポーツ選手はBMI30以上の肥満が多いことがわかりました」と言っているようなもので、使い物になる資料ではありません。


さらに、平均時間の出し方にも問題があります。


たとえば、とある時間外に4時間で8名の患者さんを診察したといます。(表は1マス5分)



と、「診療時間あたりでは30分」だけど「診察時間では8分」と全然違う結果になってしまいます。


「外来管理加算5分ルール」導入の根拠の元になった資料は
「元のデータも間違っていれば、計算方法も間違っている」という


ねつ造と言われても仕方ないレベルだったため、問題視されています。

と、長くなってしまいましたが、厚労省の抗議文はここはスルーしています。

厚労省の抗議の内容は2番目の「調査結果の目的外使用の疑い」について

2.調査結果の目的外使用の疑い

抗議文自体は保団連のサイトに掲載されています。

厚労省の言い分はこんな感じ

保団連側は「今後の時間外の診療体制のあり方を検討するためと言って調査したのに、外来管理加算の時間要件という全く別の目的に使用したのは不正行為だ」と言っているが、うちらの文書にはちゃんと「今後の診療報酬改定の検討資料とすることを目的に」と書いてあるぞ。なのに「不正行為だ」と言うのは、事実誤認の域を超え、意図的に誤った情報を流布している!誤りを認め、ホームページを修正し、新聞とホームページで訂正文を掲載しろ。

これに対して、保団連側が厚労省の抗議文に抗議しています。

厚労省が「時間外診療時間の実態調査」を委託したみずほ情報総研が作成した「ご協力のお願い」には、「このたび厚生労働省では、今後の時間外の診療体制のあり方を検討するため、時間外診療に関する実態調査を行うこととなりました」と書かれている。みずほ情報総研側に確認したが、「(文書については)厚生労働省様には、しっかり確認しました」と言っているぞ(以下略、この他にも様々な点を指摘しています)

この件については、Yosyanさんの「新小児科医のつぶやき」の「2008-06-25 厚労省の小失態」にて、とても詳しく考察されています。


しかし、厚労省は「目的外使用云々」で騒いでいますが、保団連が「厚生労働省保険局医療課の「抗議文」について即時撤回と書面による謝罪ならびに説明を求めます」(PDF)指摘しているように、ここでの問題の本質は「データの取り方自体が不適切」という点ではないでしょうか?


この点について、厚労省がどのような反応をするのか気になります。



◇関連記事
厚労省が保団連に的外れ?な抗議文 - 保健師のまとめブログ2
外来管理加算5分ルールの根拠資料(厚労省提出)はねつ造? - 保健師のまとめブログ2