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学徒出陣


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臨床研修:短縮案をほぼ了承 厚労省医道審 毎日新聞(2009.3.3)

厚生労働省は2日、新人医師に義務付けられている臨床研修の見直し案を、厚労省医道審議会医師臨床研修部会に示し、大筋で了承された。10年度から研修期間を2年以上から実質1年程度に短縮する。新設する都道府県別研修医の募集定員の上限について、目安のために今年度実績に基づき初試算すると、全国で約9900人になると公表した。一般の意見を募り、4月に省令改正する方針。


見直しは、都市部への研修医の集中を防ぎ、専門的な診療を長期間学び現場の担い手になることで、医師不足を解消するのが狙い。7診療科あった必修科目を、内科(6カ月以上)▽救急(3カ月以上)▽地域医療(1カ月以上)と3診療科に削減。研修病院の指定基準も「年間入院患者3000人以上」−−などとした。


大戦末期の1943年、戦局悪化と兵力不足を補うため、政府は旧制高校旧制大学の在学生(文系と農学系の一部*1)への徴兵延期措置を撤廃して徴兵し、下士官や下級将校として南方の最前線に送り込みました→(学徒出陣 - Wikipediaからの引用)


臨床研修短縮強制配置案も学徒出陣も、「その場しのぎ」という点では一致していますが、学徒出陣がその後どうなったかというと

学徒兵→復員or戦死or捕虜虐待等の現場責任者*2として告発される
文系学問→多くの有望人材を失い、実務家・研究者不足に

と、戦後復興の時期に大きな支障になりました。
今回の臨床研修制度改正案が、将来、どのような影響を招いてしまうのか、気になります。


さて、今回の検討されている短縮強制配置案ですが、そもそも現行の臨床研修制度は

・専門化しすぎており、幅広い知識が身につかない
・大学病院での研修は、研修医を安価な労働者扱いしており、研修できていない

という批判から導入されたのですが、「医師不足解消のための担い手とするために、期間短縮・計画配置」という今回の案は、導入時の理念を無視しているのではないのでしょうか。


ところで、研修医の強制配置積極的推進派の読売新聞ですが*3、現行の臨床研修制度導入前はこんなことを言っておりました。


[社説]臨床研修改革 患者本位の医師養成が大切だ 読売新聞(2002.9.6)

その核となる臨床研修の目的は、基本的な診療の技術や知識を習得することだ。そんな当たり前のことができていない。

問題は、新人医師の多くが研修先に選ぶ大学病院の医局にある。内容が専門性に偏り過ぎているため、幅広い臨床の基礎を習得することは難しい。患者の気持ちを思いやる医師も育ちにくい。

しかも、研修医は医局の「安価な雑用係」として酷使され、劣悪な労働環境は医療事故の温床と批判されている。


[社説]臨床研修改革 研修医は安価な労働力ではない 読売新聞(2003.7.21)

「試験に合格したばかりのペーパードライバーが、いきなり高速道路を突っ走るようなものだ。事故が起きない方がおかしい」。医学教育の専門家の嘆きである。

技術や知識が未熟の研修医が、先輩医師の十分な支えもないまま、医療の最前線を担わされている。これが日本の医療の悲しい現実だ。


社説での主張内容ってコロコロ変わるんですね。

*1:農業経済学などは文系とされた

*2:下士官・下級将校という階級のため

*3:読売と厚労省医療課長の医師計画配置案に、舛添大臣が苦言 - 保健師のまとめブログ2