◇平成18年度「臨床研修に関する調査」最終報 医師臨床研修制度のホームページ(厚生労働省)
平成18年度の臨床研修に関する調査の最終報告が厚労省のサイトに掲載されていました。
全文読んでいる余裕なんぞないので「臨床研修に関する調査」報告のポイントだけ読みました。
そういや、
「制度はあえてわかりにくくすることで、頭のいいやつだけ得するようになっている」
「バカは一生、だまされ続ける」
って、ドラゴン桜で桜木先生が言ってましたね。
PSE問題のときも、経産省の役人様が「周知してますよ、官報に掲載されているので『知らなかった』というのは通用しない」と発言してましたが、やっぱりポイントだけじゃなくて全文読まないといけないのかしら・・・
と、それはさておき、あえて全文ではなく(嘘) 「ポイント」だけ読んでみましたが、大学病院と臨床研修病院(ここでは「非大学病院」としています)の評価の差がはっきりしていました。
問1：あなたが現在研修している病院の研修体制等に満足していますかということで、大学病院は「待遇悪いし、雑用ばっかだし、経験つめないし、コメ(コメディカル)が働かない」から評価も悪いという風になっているようです。非大学病院 満足している62％ 満足していない20％
大学病院 満足している43％ 満足していない36％勝手に注訳：大学病院の研修医は非大学病院より満足していません
問2：研修体制等で改善すべき点
非大学病院
1位：本などの教育資源が少ない
2位：指導医から十分な指導がない
3位：受け入れ体制が不十分
4位：症例・手技の経験が不十分
大学病院
1位：待遇処遇が悪い
2位：雑用が多い
3位：症例・手技の経験が不十分
4位：コ・メディカル(看護師や放射線技師などの医師以外の医療従事者)との連携が不十分勝手に注訳：大学病院には、研修以前の点に不満があります
これが「ふーん」で済まない・・・というか、大問題。
大学病院の研修は人気がない
↓
研修医が大学病院ではなく非大学病院へ流れる
↓
研修医(という名のなんでも屋、悪く言えば雑用係、もっと言えば奴隷)がいなくなったので
スタッフ(勤務医)の負担が増大。というか医師が少なすぎて大学病院回せない
↓
他に医師を派遣している余裕がなくなったので、地方の病院に派遣している医師を引き上げる
↓
(医師の待遇処遇改善に努めず大学任せにしていた)地方の病院は、自前で医師が招聘できなくなる
↓
医師がいないと、病院できないで、診療科閉鎖、中止、医療崩壊
という流れが、新研修制度により起きています。
で、研修医制度の改変が「医療崩壊の原因」とマスコミは、かき立てているのですが
トドメを刺したのは
「当直は眠れている時間でしょ」(実際は不眠不休)と待遇改善せず、36時間連続で働かせても、「医者は高給取りでいいですね」と奴隷扱いしていた自治体と
そんな奴隷扱いでも「住民のために」と自分も家族も犠牲にして働いてきた医師に対し
「ベッドが満床だから受け入れできないとか手術中だから受け入れできないとはなんだ！たらい回しだ！」
「医は仁術といわれているのに、今は算術に走っている。医師は心をなくしたのか」
と、バッシングするマスコミ（あと、警察と法曹界の方）
なんですけどね。
勤務条件の悪さは、「住民の命と健康を守っているんだ」というやり甲斐や生き甲斐でがんばってきた先生方ですが、自治体とマスコミ(と住民)は、そのやり甲斐すら奪い去ったので、逃散が進み崩壊しているのです。
