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福島大野病院事件で禁固1年・罰金10万円の求刑


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産科医に禁固1年求刑 福島の患者医療過誤訴訟 MSN産経ニュース(2008.3.21)

福島県大熊町の県立大野病院で平成16年、帝王切開手術を受けた女性=(29)=が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反(異状死の届け出義務)の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦被告(40)の論告求刑公判が21日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれ、検察側は禁固1年、罰金10万円を求刑した。


検察側は「責任回避に終始する被告の態度は患者と医師の信頼を崩し日本の医療の発展を阻害するもの。幼い子供を残し死亡した被害者の無念は察するに余りある」と指摘した。

大野病院事件については

我々は福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ支援します。(2008.2.19)


で詳しく触れましたが、21日の論告求刑公判で検察側が禁固1年、罰金10万円を求刑したようです。公判の内容自体については、「周産期医療の崩壊をくい止める会」に詳報が掲載されています。


これによると

第十三回公判傍聴記録 詳報 (2008/3/21) 周産期医療の崩壊をくい止める会

検察:
医療は侵襲を伴い生命に影響を与える。産科医療は母児の危険を内包する。よって産科医は高度な注意義務を負う。
医師は社会的な信頼、患者の安全を全面的にゆだねられ、重い責任が課されている。被告は安易な判断で医師に対する社会的な信頼をも失わせた。
不十分なインフォームド・コンセントしかおこなっておらず、家族は帝王切開の内容を殆ど理解できず、死後の説明も不十分で遅れた。最悪の知らせ方が遺族の悲しみを増した。被告は大量出血も家族に報告できないと言いながら一方で、応援要請に対して応援を依頼する必要はないとしており不可解である。
重い医師としての責任認識が甚だ乏しいとしか言いようがない。
被告は地域の社会的な重責を担ってきたとしても、過失は重大である。
よって、求刑は、禁固一年、罰金10万円 とする。

と求刑しています。


「教科書や学会の冊子に載っているような基礎的なことをやらずに大量出血死させ、インフォームドコンセントも不十分で、4時間後に蘇生中であることを知らせ、示談や慰謝にも応じないなど、不誠実で被告に対する遺族感情も激しい上に、終始、責任逃れをする態度は患者と医師の信頼関係を崩し、日本の医療の発展を阻害している」


と極悪非道のように言っていますが、求刑は禁固1年・罰金10万円となっています。

刑法第211条(業務上過失致死傷等)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

刑法第211条によると、最高で5年・100万円を求刑できるのですが、実際に求刑したのは禁固1年・罰金10万円と・・・過失は重大と言っている割には、どうなんでしょうか・・・


「学会の冊子に載っているような基礎的な知見」と言ったけど、当の学会と産婦人科医会からは「癒着胎盤という、術前診断がきわめて難しく、治療の難度が最も高く、対応がきわめて困難な事例」と声明を出され、公判中は、弁護側にとことん論破され続けた検察ですが、やはりおかしいことがわかっているので、言っている理由と求刑の内容が乖離しているのでしょうか・・・。



◇参考リンク