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産経「看護師も地域偏在だ」←いえいえ都市部も不足してます


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遅れる地方の看護師不足対策 産経新聞(2009.2.14)

深刻な看護師不足により、奈良県の基幹病院が機能の一部停止に追い込まれた。県立奈良病院(奈良市)が病床休止を余儀なくされた背景には、大都市圏の病院に医師や看護師の人気が集中する医療の「地域偏在」問題がある*1。さらに地方の看護師不足対策は、医師に比べて「遅れている」(厚生労働省)のが実情で、関係者の悩みは深い。

しかし、医師や看護師が、患者が多く好待遇の大都市圏の病院に集中する「地域偏在」や、産婦人科や小児科など労働条件の厳しい診療科を敬遠する「診療科偏在」が著しく進んだ結果、大都市に人材が流出しやすい近隣地域や僻地(へきち)などでは、局地的に医師や看護師不足が深刻化しているという。

「診療科偏在」に関しては、看護師の場合、あまり関係がありません。異動で内科病棟→小児科病棟 産婦人科病棟→オペ室かが普通の光景です。専門看護師とか認定看護師でも取っていないかぎりは、「ずっと同じ病棟」「希望した病棟」というのは無理でして、数年ごとに病棟や外来・オペ室などを、ぐるぐる回ります。


さて、記事によると診療科偏在問題だけでなく、地域偏在(大都市に集中)という問題もあるとのことですが、東洋経済にこんな記事がありました。



深刻な医師・看護師不足、東京都の危機的な病院運営《特集・自治体荒廃》(1) 東洋経済

かつて年間約1000人のお産を扱っていた荏原病院(大田区)の産科は、今や見る影もない。


都立だった荏原病院が、東京都保健医療公社に移管されたのは06年4月。「より地域に根ざした、弾力的かつ効率的な運営」が目的だった。都と東京都医師会などが出資する公社への移管に際して、産科や救急など行政が担うべき医療は減らさないというのが住民への説明だった。


ところが、移管から1年後、荏原病院では地域医療の要である産科を維持できなくなった。原因は看護師の大量欠員だ。入院患者への対応がままならず、07年7月に病棟を1棟休止。東邦大学が産科から派遣医師を引き揚げた。そして同10月、妊婦受け入れ縮小に追い込まれた。

都会の公立病院だって看護師不足している時代です。


「東京都保健医療公社とかいうわけわからん組織だからじゃないの?」という声もあると思うので、都心ど真ん中の有名病院も調べてみましたところ、下記のようになりました。

順天堂医院 中途採用募集中
三井記念病院 看護師(中途):平成21年4月1日就任
社会保険中央総合病院 看護職員募集(随時)
東京逓信病院 平成20年度看護師採用試験(中途採用)募集案内
東京大学医学部付属病院 看護師募集(中途採用募集要項)
都立病院 都立病院等の看護師(経験者)募集について
日本赤十字社医療センター 平成21年度中途採用(6月以降)
東京医科大学病院 随時募集要項
虎の門病院 中途採用なし
JR東京総合病院 中途採用なし
聖路加国際病院 中途採用なし


こういった都心ど真ん中の有名病院ですら、随時募集かけているような状況です。


ところで、産経の記事の続きですが

都道府県別にみても、常勤換算した人口10万人あたりの医師数(19年調査時)は、最も多い高知(212・1人)と最も少ない埼玉(99・5人)の格差は112・6人と、15年調査時の108・6人から拡大。看護師の地域間格差について厚労省は「統計はないが、医師と同傾向と認識している」という。

まとめると、「埼玉が少なくて、高知が最も多い」→「医師も看護師も大都市圏の病院に集中する地域偏在が問題だ」


論理的におかしいと思います。

*1:毎日新聞奈良支局の「大淀病院バッシング報道事件」の影響もあると思います。