保健師のまとめブログ

保健師が気になった情報をまとめています。

WHOが2020年までに水銀温度計・血圧計の使用中止を呼びかけ

健診会場や医療機関でも使われている水銀血圧計ですが、その段階的な使用の中止をWHOが示しました。

卓上水銀血圧計 グレー No.601 水銀式体温計
↑なつかしいね、水銀血圧計と体温計。

WHO、水銀体温計・血圧計の全廃を呼び掛け AFP(2013.10.16)

【10月16日 AFP】世界保健機関(World Health Organisation、WHO)は11日、有害な液体金属である水銀の取り扱いを規制する国際条約が前日に採択、署名されたことを受けて、水銀を使用した体温計と血圧計の全廃を目指すと発表した。

これは、2013年10月7日から11日に熊本市水俣市で開催・採択された「水銀に関する水俣条約」を受けたものであり、WHOは「Mercury-Free Healthcare by 2020 initiative」と2020年までに水銀のないヘルスケアの実現を呼びかけています。

となると、次に気になるのが水銀を使用している血圧計や体温計の破棄ですが、もちろん、普通のゴミに混ぜて出してはいけません。焼却炉の排気ガスの水銀濃度が規制値を超えてしまい焼却炉の停止…となってしまう場合もあります。

水銀を含むごみの出し方にご注意ください 世田谷区

○水銀を含むごみの出し方について

清掃工場では、焼却炉の排ガス中の水銀濃度が自己規制値を超えると、焼却炉を停止します。焼却炉が停止すると、清掃工場のプラント整備や収集ごみの搬入工場の変更に伴う臨時車の導入など多額の費用を要するほか、ごみの収集時間が遅れるなど、皆様の日常生活にも重大な影響を及ぼします。
過去に平成22年、23年、24年と3年連続して焼却炉が停止し、区の清掃事業に影響を与えました。

このような事態が起こらないよう、区民の皆さまにおかれましては、正しい分別方法に従いごみをお出しください。なお、家庭で使用していた水銀入りの体温計と血圧計が不要になりましたら、下記の施設までお持ちください。お近くに回収施設が無い場合は、管轄の清掃事務所にご相談下さい。

ちなみに東京二十三区清掃一部事務組合の資料(PDF)によると、水銀混入ごみによる焼却炉への影響は、停止期間が1件あたり10日から最長3ヶ月弱、点検や清掃、部品の交換にかかる費用が50万円〜2億8000万円と、とんでもないことになるので、家庭用の水銀血圧計や体温計を破棄する際は、お住まいの自治体にご確認くださいね。ちなみに事業用のごみは家庭ごみの収集所に出してはダメですよ。

水銀レス血圧計 スワンハート UM-102(標準型)

水銀レス血圧計 スワンハート UM-102(標準型)

精神保健福祉法が改正されました

平成26年4月より精神保健福祉法が改正されています。

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律の施行について 厚生労働省

大きく変わったのが下記の2点

です。

保護者制度の廃止

主に家族がなる保護者には、精神障害者に治療を受けさせる義務等が課されているが、家族の高齢化等に伴い、負担が大きくなっている等の理由から、保護者に関する規定を削除する。

精神の医療が他と大きく異なっていたのがこの「保護者制度」
改正前の精神保健福祉法では

精神保健福祉法第22条

保護者は、精神障害者(第22条の4第2項に規定する任意入院者及び病院又は診療所に入院しないで行われる精神障害者の医療を継続して受けている者を除く。以下この項及び第3項において同じ。)に治療を受けさせ、及び精神障害者の財産上の利益を保護しなければならない。
2 保護者は、精神障害者の診断が正しく行われるよう医師に協力しなければならない。
3 保護者は、精神障害者に医療を受けさせるに当たっては、医師の指示に従わなければならない。

と規定されており、他の医療と異なり、精神医療については、保護者を選任し、保護者は

  • 治療を受けさせる
  • 精神障害者の財産上の利益を保護する
  • 医師に協力する
  • 医師の指示に従う

といった義務がありました。もちろん、内科や外科を受診する際はこのような義務はありません。
この「保護者制度」が廃止になったのが今回の改正の大きな点の一つになります。

医療保護入院の見直し

上記の「保護者制度の廃止」による影響を受けたのが、医療保護入院の見直しです。

精神科における入院は、他の科と異なり

入院形態 内容 メモ
措置入院 法第22条〜26条の3に基づく通報等により「精神障害のため自傷他害の恐れがあることが明らかな者」を都道府県知事が指定医による診察を受けさせた上で、指定医2人が「精神障害のため自傷他害の恐れがある」(措置症状)と認めた場合、都道府県知事の命令で(強制)入院させることができる 措置のため、医療費は全額公費負担
緊急措置入院 措置症状があり急速を要するが措置入院の手続きが取れない場合は、指定医1人の診察により(措置症状が認められる場合は)72時間に限って都道府県知事の命令で入院させることができる 措置のため、医療費は全額公費負担
任意入院 本人の同意のもと入院 他の科における入院と同じ
医療保護入院 指定医の診察の結果、精神障害者であり医療・保護のため入院が必要だが本人の同意が得られず、かつ措置症状には該当しない場合、指定医1人の診察と保護者の同意があれば本人を強制入院させることができる 措置入院ではないため、医療費負担は発生する
応急入院 ただちに入院させなければいけないけど、措置入院・緊急措置入院医療保護入院にも該当しない場合、指定医1人の診察結果にもとづき72時間に限って本人の同意がなくても入院させることができる。

NHKの地域スタッフ(外部委託)が障害者世帯に嘘をついて受信契約を結ぶ事例があります

NHK地域スタッフ(いわゆる集金人)ですが、外部委託(個人委託事業者)という仕組みになっており、報酬が「基本給+歩合制」となっているためか、タイトルのような行為に及ぶ地域スタッフもいるようです。

流れとしては

(1)障害者がいる世帯に対し「障害者がいる世帯は役所で手続きをすると受信料が免除されますよ」と説明し契約を結ぶ
 ↓
(2)契約後、役所に行くと「免除に該当しませんよ」と説明を受ける
 ↓
(3)受信契約は結んでいるため受信料の支払い義務は免れない

といった感じです。

というのも、NHKの受信料の減免となる世帯は(障がい者に限った場合)

全額免除 障害者手帳所持者がいる世帯でかつ世帯員全員が市町村民税非課税
半額免除 ・身障手帳(視覚・聴覚)を所持している方が世帯主で受信契約者
・身障手帳(1・2級)持している方が世帯主で受信契約者
・重度の療育手帳を所持している方が世帯主で受信契約者
・精神保健福祉手帳(1級)を所持している方が世帯主で受信契約者

であり、役所はこのNHKが示している条件に該当するかどうかを確認しますが、「精神保健福祉手帳2級を持っているけど世帯員に市民税課税者がいる」場合などはNHKの減免の条件に該当しないため適用外となります。


もちろん、放送法上、テレビを設置している世帯はNHKと契約を結ぶ必要があるため

放送法
(受信契約及び受信料)
第六十四条  協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない

テレビを持っている世帯と契約を結ぶことはなんら問題はありませんが、「障害者なら免除になりますよ」と嘘をついて契約を結ぶためトラブルになっているようです。