平成26年4月より精神保健福祉法が改正されています。
◇精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律の施行について 厚生労働省
大きく変わったのが下記の2点
- 保護者制度の廃止
- 医療保護入院の見直し
です。
保護者制度の廃止
主に家族がなる保護者には、精神障害者に治療を受けさせる義務等が課されているが、家族の高齢化等に伴い、負担が大きくなっている等の理由から、保護者に関する規定を削除する。
精神の医療が他と大きく異なっていたのがこの「保護者制度」
改正前の精神保健福祉法では
◇精神保健福祉法第22条
保護者は、精神障害者(第22条の4第2項に規定する任意入院者及び病院又は診療所に入院しないで行われる精神障害者の医療を継続して受けている者を除く。以下この項及び第3項において同じ。)に治療を受けさせ、及び精神障害者の財産上の利益を保護しなければならない。
2 保護者は、精神障害者の診断が正しく行われるよう医師に協力しなければならない。
3 保護者は、精神障害者に医療を受けさせるに当たっては、医師の指示に従わなければならない。
と規定されており、他の医療と異なり、精神医療については、保護者を選任し、保護者は
- 治療を受けさせる
- 精神障害者の財産上の利益を保護する
- 医師に協力する
- 医師の指示に従う
といった義務がありました。もちろん、内科や外科を受診する際はこのような義務はありません。
この「保護者制度」が廃止になったのが今回の改正の大きな点の一つになります。
医療保護入院の見直し
上記の「保護者制度の廃止」による影響を受けたのが、医療保護入院の見直しです。
精神科における入院は、他の科と異なり
入院形態 | 内容 | メモ |
措置入院 | 法第22条〜26条の3に基づく通報等により「精神障害のため自傷他害の恐れがあることが明らかな者」を都道府県知事が指定医による診察を受けさせた上で、指定医2人が「精神障害のため自傷他害の恐れがある」(措置症状)と認めた場合、都道府県知事の命令で(強制)入院させることができる | 措置のため、医療費は全額公費負担 |
緊急措置入院 | 措置症状があり急速を要するが措置入院の手続きが取れない場合は、指定医1人の診察により(措置症状が認められる場合は)72時間に限って都道府県知事の命令で入院させることができる | 措置のため、医療費は全額公費負担 |
任意入院 | 本人の同意のもと入院 | 他の科における入院と同じ |
医療保護入院 | 指定医の診察の結果、精神障害者であり医療・保護のため入院が必要だが本人の同意が得られず、かつ措置症状には該当しない場合、指定医1人の診察と保護者の同意があれば本人を強制入院させることができる | 措置入院ではないため、医療費負担は発生する |
応急入院 | ただちに入院させなければいけないけど、措置入院・緊急措置入院・医療保護入院にも該当しない場合、指定医1人の診察結果にもとづき72時間に限って本人の同意がなくても入院させることができる。 |