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ややこしい話「生活保護と介護保険と自立支援法」


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介護保険と障害者自立支援法の適用関係

介護保険と障害者自立支援法には似たようなサービスがあります。ヘルパーさんを例にあげるとこんな感じです。

介護保険 訪問介護 居宅において介護福祉士その他政令で定める者により行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって、厚生労働省令で定めるもの
自立支援法 居宅介護 居宅において入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与すること

介護保険の訪問介護でも自立支援法の居宅介護でもヘルパーさんが自宅を訪れて食事を作ることができますが、両方の制度の対象となる方(介護保険で2号被保険者の特定疾病の対象になり要介護認定が出ていて、障害のため自立支援法で障害程度区分も出ている様な方)は原則として介護保険での給付が優先となります。

両方のサービスが使える場合の優先順位は

 介護保険法>障害者自立支援法

ですね(原則)

ただし、生活保護を受けている場合は話が変わってきます。
その前に介護保険の被保険者(加入者)について説明すると

介護保険の被保険者(加入者)について

65歳以上 第1号被保険者として介護保険料を直接支払う
40歳以上65歳未満 第2号被保険者として医療保険(国保・協会けんぽ・健保組合・共済組合など)が介護保険料も徴収

40歳以上65歳未満の2号被保険者は医療保険の加入者を対象としています。そのため40歳以上65歳未満の生活保護受給者で医療保険に加入していない方は(実は生保かつ医療保険加入者というパターンも少ないですがあり得ます)2号被保険者になれません。

そのような方(40歳以上65歳未満の生活保護受給者)が介護サービスが必要になった場合は「介護サービスは受けられません」ではなく、生活保護の介護扶助として同様のサービスを利用することができます(費用は全額を保護が負担)

まとめると、こんな感じです。


◇生活保護受給の有無でみた介護保険の被保険者の区分

保険料 介護サービス利用料
65歳以上の方(1号被保険者) 直接支払う 自己負担の1割は自分で、9割は介護保険から
65歳以上の生活保護受給者(1号被保険者) 保険料分は生活扶助に加算されるのでそこから支払う 自己負担の1割は生活保護の介護扶助、9割は介護保険から
40歳以上65歳未満の医療保険加入者(2号被保険者) 医療保険が一緒に徴収している 自己負担の1割は自分で、9割は介護保険から
40歳以上65歳未満の医療保険未加入の生活保護受給者 保険料なし(介護保険対象者ではないので) 全額保護費(介護扶助)

介護扶助と障害者自立支援法の適用関係

「40歳以上65歳未満の医療保険未加入の生活保護受給者」が介護サービスを受ける場合は、介護保険の被保険者ではないため、生活保護の介護扶助を利用しますが、介護扶助を利用している「40歳以上65歳未満の医療保険未加入の生活保護受給者」が障害者自立支援法の障害福祉サービスの対象者でもあった場合、この場合、生活保護は他法優先の原則があるため「介護扶助ではなく障害者自立支援法を利用してください」となります。

ややこしいですが、まとめると


◇介護と障害の両方の対象になる場合の優先順位

優先順位
65歳以上の1号被保険者 介護保険>障害者自立支援法
40歳以上65歳未満の2号被保険者 介護保険>障害者自立支援法
40歳以上65歳未満の医療保険未加入の生活保護受給者 障害者自立支援法>介護扶助

補足

  • 自立支援法にあって介護保険にないサービスの場合、介護保険が優先の方でも自立支援法のサービスを受けることができます(就労継続支援B型は介護保険法にはないサービスですので介護保険が優先の方でも利用できます。逆のパターンも同じ)
  • 一方のサービスでは足りない場合、もう一方のサービスで補うことができます(65歳以上の方は介護保険が優先ですが、認定調査の結果、要支援1となった場合、ヘルパーは週1回しか利用できません。しかし、障害により日常生活に支障があり「週5回はヘルパーが必要」と障害福祉担当課が判断すると足りない週4回分は自立支援法で支給できます)
    • 補足の補足、↑の場合、自立支援法の障害程度区分認定も必要です。