保健師のまとめブログ

保健師が気になった情報をまとめています。

肥満でも代謝的には健康なことも

「実は健康な肥満」も存在、米と独の研究で実証 AFP(2008.8.14)

【8月14日 AFP】肥満している人でも健康で、心臓疾患を生じやすいことはないという驚くような研究結果が、内科分野の米専門誌「アーカイブス オブ インターナル メディシン(Archives of Internal Medicine)」に掲載された。

さらに別の研究では、やせているからといって何もせずに、高血圧やコレステロール、糖尿病といった心臓関連の病気から守られるわけではないことも示されている。

ソース元はこちら→「Identification and Characterization of Metabolically Benign Obesity in Humans


辞書片手に頑張ってみたが、試行錯誤しつつネットを巡回していると、「内科開業医のお勉強日記」様に、abstractの日本語訳が載っていました→良性肥満:インスリン感受性が保たれ、早期合併症がない表現型の存在・・・肝臓脂肪が重大な指標


さて、AFPの記事によると、

肥満グループを、インスリン抵抗性のあるグループとないグループに分けたところ

インスリン抵抗性がある肥満グループ インスリン抵抗性がない肥満グループ
骨格筋、特に肝臓組織に脂肪が多く、心筋梗塞のリスクとなる頸動脈壁の厚みも増していた 通常体重グループと比べ、頸動脈壁の厚みの差がなかった

ということで、「代謝的には良性な肥満もある」と結論づけています。


一方、記事後半で紹介されている米国アルバート・アインシュタイン医科大学の調査では

20歳以上の米国人では、正常体重の人の約23%に代謝異常がある一方で、太り過ぎの成人の51%および肥満成人の32%が「代謝的に健康」だとされている。

と、やせているからと言って代謝的に問題がでないわけではないことが示されています。


となると、腹囲を必須項目にしている、メタボリックシンドローム診断基準と特定保健指導の階層化では、「やせているが代謝的に問題がある層」が抜け落ちてしまうわけで、「特定保健指導の対象者」以外への保健指導をどうするか、考えないといけないですね。

NHK ETV特集「医療事故 どう減らすのか」

ちょっと古い話題ですが、教育テレビのETV特集で「医療事故対策」についてやっていた回がありました。

第231回 6月22日(日)医療事故 どう減らすのか 〜新たな“安全システム”への模索〜

番組では、各地で始まっている病院改革など、医療事故防止の新たな動きのルポをまじえ、どうしたら医療事故を減らせるか、新たな視点から提言を行なう。

番組の途中から見たので、自治医科大学での取り組みの様子しか見ていないのですが、内容としては


 ○医療ミスの多くは、初歩的なケアレスミス
 ○人間はミスを起こすということを前提に、システムで対処すべき
 ○まずは整理整頓(薬剤や器具の種類が多いとそれだけでリスクがあがる。また、配置も人の動線に合わせる〜


という感じです。


気になったのが1ヶ所あったのですが
自治医科大での取り組みの中で、医療安全学教授(元航空管制官でヒューマンエラーの専門家)が、病棟で薬を扱う時(混合とかね)は「周りの人は話しかけない」「本人は薬の事だけ考える」という風に指導されていました。


実践できるにこしたことはないんだけど・・
モニターのアラームが鳴ったりナースコールが鳴った時に、薬を扱っているスタッフ以外に対応できるスタッフがいないときのことについて触れていなかったので、どのように指導しているのかが気になります。


ここをうまく解決できるシステムは(正直、配置基準を諸外国並にまともにする以外では)難しいでしょうが、ヒューマンファクター工学からの視点も取り込み、ぜひ構築して欲しいです。


◇参考リンク
医療のTQM実証プロジェクト
【インタビュー】東京電力技術開発本部技術開発研究所・河野龍太郎氏 「患者中心の医療」から「人間中心の医療」へ(要会員登録) 日経メディカル(2004.6.14)

医療におけるヒューマンエラー―なぜ間違えるどう防ぐ

医療におけるヒューマンエラー―なぜ間違えるどう防ぐ