パナソニックのユニバーサルデザインなフォントを見てから(過去記事→「ユニバーサルデザインな見やすいフォント」)、見やすいフォントというものに関心をもつようになったのですが、筑波技術大学の「筑波技術大学テクノリポート」でこんな文献を発見。
欧米の字体については、Russell-Minda, E. 他(2007) [1] により、 Times New Roman のような“ひげ飾り(上下端の細い飾り)”のある文字(セリフ文字)よりも、Arial(アリアル/エアリアル)、Verdana(ベルダナ)などのひげ飾りのない文字(サンセリフ文字)が、視覚障害者には読みやすいと報告されている。これをふまえ、日本語の書体について、視覚障害学生の読みやすい文字を、以下のように解説した。第1 に、使用する文字の大きさと無関係に、明朝系の文字を好む学生は多くはない。第2 に、14ポイントのような比較的小さな文字を使う学生は、MS ゴシックやHG 丸ゴシックなど、あまり太くないゴシック系の文字を好む。しかし、使用する文字が大きくなるにつれ、ゴシック系でも太い字体、MG ゴシックやHGS 創英角ゴシックへと読みやすい書体が移っていく。
レポート(PDF)への直接リンクはこちらからどうぞ→http://www.tsukuba-tech.ac.jp/repo/dspace/bitstream/10460/756/4/Tec17_1_02.pdf
著者は筑波技術大学の教員であり、視覚障害論などの講義を担当しているのですが、盲から比較的軽度な方まで様々なタイプの視覚障害を持っている学生向けに墨字(14pt・18pt・24pt)と点字の4種類のテキストを用意しているそうです。
フォントの大きさについて
14ptを希望する学生が一番多いとのことでした。ただし、テキストのフォントは大きめだけど資料のフォントは小さめを希望したり、30ptや40ptを希望する学生もいて、「小さい方がいい」と言うわけでもなさそうです。
フォントの種類について
△学生が希望するフォント
△学生が「読みやすい」と思うフォント
希望するフォントと読みやすいフォントが微妙に違っているのは興味深いですが、HG丸ゴシックとMSゴシックが「読みやすい」と認識されているようです。MSゴシックと言えば、Windowsにデフォルトでついているフォントですが、視認性は思ったよりも高いようでして意外でした。
まとめ
- 小さい文字では細いゴシック体
- 大きい文字では太いゴシック体
が、見やすいとのことでした。詳しくは上記のリポートへどうぞ。
さて、ここに出てきたフォントと、個人的に気になるフォントを画像化しておいたので、貼っておきます。(MGゴシックは見つかりませんでした)
メイリオやHGSゴシックM、IPAゴシックなども見やすいとは思うんですが、実際はどうなんでしょうか。
見やすいフォントについての記事一覧
- 視覚障害者にとって読みやすいフォントとは?(2010.2.5)
- モリサワが明朝体のUDフォントを発表(2009.6.5)
- ユニバーサルデザインな見やすいフォント(2009.3.12)