保健師のまとめブログ

保健師が気になった情報をまとめています。

保健師とは?

保健師とは

保健師について定められている保健師助産師看護師法という法律の第2条

この法律において「保健師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者をいう。

と書かれていますが、これだけじゃよくわからないですよね?自分なりに分かりやすく説明してみると

赤ちゃんから高齢者まで、健康な方から病気の方・障害者までの様々な方が、健康な生活を送れるように、「保健指導」などを通して、お手伝いをする仕事をする人

という感じです。

まだ、わかりにくいかもしれませんので、分かりやすい説明がされていた
13歳のハローワークでの紹介文を引用。

保健師 村上龍氏の職業紹介
市町村役場や地域の保健所、保健センターなどに勤め、住民の健康を守り、促進することに努める。相手は、赤ちゃんからお年寄りまであらゆる年齢層にわたっ ており、それぞれの人の生活や健康状態を聞きながら、適切な措置やアドバイスをしていく。そのため、保健師として働くためには、幅広い知識や視野、あたた かい人間性、しっかりした体力と精神力が欠かせない。(以下略)

おおまかな感じはつかめたでしょうか?

続いて、保健師の職場はどうなっているかというと・・

保健師が働いている場所

◇2004年 就業場所別就業保健師数の割合

参考資料:市町村保健師活動に関するデータ(PDFファイル) 厚生労働省


2004年(平成16年)末現在、保健師として働いている人は、約4万人。そのうちの約3万人(66%)は都道府県や政令指定都市中核市が設置する保健所や市町村といった「行政」で働いています。その次に多いのが「医療機関」で約1万人(21%)。「事業所(会社)」約2500人(5%)と続きます。

保健師の9割近くが「行政」「医療機関」「事業所」のいずれかで働いていることになっていますね。

最近の状況

保健師として働いている方の多く(66%)が、行政で働いていると、述べました。

行政で働く保健師は、都道府県や政令市・中核市特別区などが設置する保健所で働く保健師と、市町村で働く保健師の2つに大きくわけることができますが、その割合は1:3と、市町村で働く保健師の方が多いです。昭和50年代前半までは保健所保健師の方が多かったのですが、市町村保健師がすごい勢いで増えた結果、昭和55年頃に逆転しました。

◇就業場所別にみた就業保健師数の推移 (単位は人)

参考資料:市町村保健師活動に関するデータ(PDFファイル) 厚生労働省*1

グラフを見てわかるとおり、市町村保健師がすごい勢いで増えています。
これは、「住民に近いサービスは、都道府県ではなく、身近な市町村が行う」とい国の方針のもと、保健の分野でも、保健所と市町村保健センターの役割について定められている地域保健法が改正され、いろいろな事業都道府県から市町村に移管されたことと

平成に入ってから施行された介護保険法・障害者自立支援法、平成20年4月より施行される「後期高齢者の医療の確保に関する法律」(老人保健法の全面改正、特定健診・特定保健指導もこれが根拠になっている)により、市町村の現場で、保健師が大量に必要になったことから、市町村での保健師採用が急増したためです。

つまり

    1. 保健所の業務のうち住民に身近なサービスは、住民にとって身近な公共団体である市町村が担当することになった
    2. 市町村が実施主体の介護保険特定健診・特定保健指導に対応する専門職としての保健師の採用が増えた

この2点により、市町村保健師が急増しています。=採用が多いです。

*1:S53年以前の市町村には国保保健師も含まれています(国保保健師はS53年に市町村に統合)

行政保健師になるには

行政保健師とは

都道府県や市町村などの行政機関で働く保健師を行政保健師や地域の保健師といいます。保健師の2/3は行政保健師として働いており、もっとも数が多い職場です。

行政保健師の仕事内容

対象の違い
都道府県で働く保健師 その都道府県民
市町村で働く保健師 その市町村民

疾病の予防活動や健康の増進、在宅で病人を抱えている家族への家庭看護方法の教育、保健情報の提供などとともに、医療機関やかかりつけ医、訪問看護師などとの連携を促す役割も重視されています。

1.都道府県保健師「広域的・専門的な業務」

都道府県保健師の職場は、都道府県庁や都道府県が設置する保健所となっています。地域保健法の施行により、主に「広域的」「専門的」な業務を行うことになりました。

  • 障害者(精神・療育など)、難病患者、結核やエイズ患者等への保健サービス
  • SARSや新型インフルエンザに対する危機管理
  • 市町村保健師への研修など技術的な支援
  • 管轄内の保健医療システムの整備
  • 疫学や統計など
2.市町村保健師「住民に身近な保健サービス」

市町村保健師の職場は、市町村役所や市町村が設置する保健センターとなっています。地域保健法の施行により、「住民に身近な保健サービス」は市町村が行うことになりました。

  • 乳幼児や妊産褥婦などへの健診や訪問指導
  • 特定健診・特定保健指導やがん検診、婦人健診(乳がん検診・子宮がん検診等)
  • 精神障害者や知的障害者、身体障害者への支援
  • 介護保険など高齢者への支援 などを行います。

行政保健師の給与・待遇など

同じ自治体の場合、自治体立病院の看護職と、役所の保健師の基本給は一緒です。これは、公務員の場合、給与表(俸給表)によって、給与が決まるのですが、病院の看護師も役所の保健師も適用される給与表が同じ「医療職(3)保健師・助産師・看護師」となっているからです。
ただし、病院勤務の場合は、病棟勤務手当や夜勤手当・休日出勤手当などが加算されるため、月給の場合、約5万円ほど病院勤務の方が高くなります。

が、それを補って余りあるのが、「休み」の部分です。
部署によって違いはありますが、病院に比べると年休や産休、育休が取りやすい環境となっています。また、精神的には病院よりきつい時があるものの、肉体的には病院に比べきつくないと言えます。病院に比べ定年まで働ける環境であると言えましょう。

行政保健師になるには?

行政保健師になるには、「公務員採用試験」に合格する必要があります。公務員採用試験については、記述が多くなりましたので、別記事にてご紹介します。

行政保健師への道。公務員採用試験

大まかな流れ

おおまか こまか
1 申し込み 締め切り日までに申し込み
2 1次試験 教養試験(小論文や専門試験)
3 2次試験 面接・身体検査(↑どっちかで小論文や専門試験)
4 内定 採用名簿登録
5 内定後の手続き 誓約書とか履歴書、免許状等の提出

申し込みまで

職員採用募集の広報については、広報誌及び公式サイトで周知するのが多く、この他、保健師養成校(看護系大学や保健師学校)へのポスター掲載、新聞紙面への広告掲載などがあります。
臨床での職員募集に多い、「専門誌への広告掲載」や「転職サポート企業を利用」などがあまり見られないのが、公務員採用試験の特徴です。
(ただし、保健師を確保しづらい離島へき地の自治体などでは、様々な媒体に募集案内を載せることも)

そのため、情報を収集するためには、志望する自治体の公式サイト内の職員採用のコーナー(トップページにない場合は、総務部人事課などのコンテンツにあります)を巡回するのが確実です。

でも、市町村に限っては便利なサイトもあったりしますが、更新が遅いです。→http://www.lasdec.nippon-net.ne.jp/cms/1,0,15.html

募集案内が公表されるのは、申込期間の半月ほど前。申込期間は、試験日の1ヶ月前に設定しているところが多いです。(つまり、募集案内が出るのは試験日の1ヶ月半ほど前)


試験は5月・7月・9月に実施しているところが多く

試験実施月 自治体 募集をかける月日
5月 東京都特別区など 3月下旬頃
6月 都道府県・政令指定都市 5月中旬頃
9月 市町村 7月中旬頃
10月以降 小規模自治体に多い印象 実施日の1-2ヶ月前

という感じです。(じゃない場合もあります)

試験の内容

1.教養試験

教養試験は、ほぼ課せられる試験です。
出題の分野は公務員試験-試験科目

分野 内容
社会科学 政治・経済・社会
人文科学 日本史・世界史・地理・文学芸術・思想。国語が加わる場合もある
自然科学 数学・物理・化学・生物・地学
数的処理 上記、判断推理・数的推理・資料解釈・空間把握
文章理解 現代文・英文。古文・漢文が加わる場合もある
時事問題 民間企業の同様の分野よりも出題事項は限定的である


となっています。

入試などで、受けたことがあるような内容が並んでいますが、やっかいなのが「数的処理」。これは、一度通しておかないと、ぶっつけ本番ではパニくります。私的公務員試験対策さんの「数的処理全般*1」というコンテンツに、詳しくまとめられていましたので、ご参照ください。

逆に言えば、数的処理ができれば差を広げるチャンスです。

難易度ですが

  • 保健師が上級職扱いの自治体→行政職(上級)と同じ教養試験
  • 保健師が中級職扱いの自治体→行政職(中級)と同じ教養試験

行政職と同じほどの得点率を取る必要はありませんが、高いに越したことはありません。

2.専門試験

専門試験は、保健師国家試験と似たような感じですが、マークシートではなく記述させる場合もあります。

出題範囲は横浜市の場合はこうなっています。

地域看護学、疫学・保健統計(情報処理含む)、保健福祉行政論

実際の問題を見てみたいと言う方は、東京都特別区のサイトなどをどうぞ→http://www.tokyo23city.or.jp/saiyo/sikenmondai_19/sikenmondai_19.htm

3.面接

個別面接を実施しているところが多いです。聞かれる内容としては

質問事項 備考
どうして、うちの県(市)を受けようと思ったのか 他都道府県・他市町村出身者のときは確実に聞かれます
うちの県(市)のイメージは? 他都道府県・他市町村出身者のときは確実に聞かれます
どうして、前の職場を辞めて保健師になろうと思ったのか 前職が臨床の場合に聞かれやすいです
どんな公務員になりたいか
どんなことをしたいか
あなたの長所と短所を
趣味は
と言った定番質問も多いです

などなど

4.小論文
横浜市/H19年度 あなたがこれまで苦手なことにどのように取り組んだか、そのことを通じて学んだことも踏まえて具体的に述べなさい。
横浜市/H18年度 あなたの考える『公務員像』について、具体的に述べなさい。
福岡市/H19年度 「食」に関する課題について,食育の観点から対応策を論じなさい。
東京都特別区/H19年度 児童虐待が大きな社会問題となっており、その解決には子育て家庭を見守り、支援する地域の力が不可欠です。こうした状況において、児童虐待の発生を未然に防止するためには、行政はどうすべきか、あなたの考えを論じなさい。
東京都特別区/H19年度 生活習慣病は、健康長寿の阻害要因となるだけでなく、国民医療費にも影響を与えています。区民の日常生活における健康づくりへの支援と生活習慣病の予防に向け、特別区はどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。

などなど

5.身体検査

職務遂行に必要な健康を有するかどうかの検査(健康診断書の提出)


ツアーナース(付添看護師)になるには

ツアーナースとは

ツアーナースとは、修学旅行や地域の老人会旅行・親睦旅行など、または個人旅行などに看護師として付き添い、旅行者の健康管理及び発病時の看護を行う看護師であり、「付添看護師」とも言います。

ツアーナースに求められるもの

特定非営利活動法人日本ライフサポート協会のサイトによると
ツアーナース認定講座のカリキュラムとして、下記のようなモノが組まれています。

1. ツアーナースの立場と役割
2. 旅行についての基礎知識
3. ツアーナースとしてのサービスマナー
4. ツアーの種類と参加者の特徴
5. 旅行者とのコミュニケーション及びカウンセリングの実際
6. ハンディキャップをもつ旅行者の特徴と対応
7. 旅行前の準備及び打ち合わせ
8. 医薬品(救急バッグ)の準備とその取り扱い
9. 旅行中によくみられる症状とその対処法
10. 旅行内容から考えられる発病と対処法
11. 移動手段から考えられる発病と対処法
12. 宿泊場所(ホテル・旅館)での健康管理法
13. 医療機関受診の判断基準
14. 救命救急・応急手当の基礎
15. 記録物について

ツアーナースの給与・待遇など

派遣元に登録しての単発仕事が多いようです。
給与は国内旅行で12,000円/日、海外旅行で13,000円が相場。
その他、食事代や入場料なども支給されるようです。


CRC・CRA・DM・QA(治験関係)で働くには

CRC・CRA・DM・QAとは

CRC・CRA・DM・QAとは、治験など臨床試験に携わる職種です。

臨床試験・治験とは

1.治験とは

新薬開発の為の「治療を兼ねた試験」のことをと言います。
承認前の医薬品の候補となる薬剤を、実際に、患者や健康な人に投与することにより、安全性(副作用の有無、副作用の種類、程度、発現条件など)と有効性(効果、最適な投与量・投与方法)を確かめます。
ちなみに「治療試験」の略で、治験です。

2.臨床試験とは

追跡調査や既存の医薬品の別の効能を調査・確認するなど、新薬開発に限らない全ての試験を指します。

臨床試験・治験の流れと関わる職種

臨床試験や治験は

順番 内容 担当者
1 医療機関選び・進捗管理 CRA
2 医療機関で医師や被験者を支援 CRC
3 2で得たデータを製薬会社へ CRA
4 3のデータを整理・品質の保持 DM・QA
5 データを厚労省へ提出 製薬会社

と言う流れで、新薬開発を進めていきます。


1.CRAとは

「Clinical Research Associate」の略で、日本語では「臨床開発モニター」。モニターと呼ばれます。

○業務内容
治験が治験実施計画書や各種法令等を遵守し、科学的・倫理的に行われていることをチェック・モニタリングし、治験データが正確であることをすることが主な業務であり責務です。そのため、カルテなど治験に関する全てのデータの閲覧が認められています。
理系大学の出身者や看護師や薬剤師、臨床検査技師、MRなどの資格を有している方が求められています。

○年収
未経験者で約400万円前後


2.CRCとは
「Clinical Research Coordinator」の略で、日本語では「臨床治験コーディネーター」。コーディネーターと呼ばれます。

○業務内容
医療機関や施設内で、治験担当医師と被験者の仲介役となり、治験が適切に進むようにコーディネートを行っていくことが主な業務です。
被験者に治験の説明を行い、参加への同意を得るインフォームドコンセントを行う、被験者の心理的なケアを行うなど、コミニケーション能力が非常に重要であり、大切な役割を担います。
医療機関で働くことが多く、医師や患者と直に接することも多いため、看護師や薬剤師、臨床検査技師などの資格を有し、臨床での勤務経験があることが望ましいと言われています。

○年収
未経験者で約400万円前後


3.DMとは
「Data Management」の略です。

○業務内容
CRAが持ち帰った治験データを、入力し、チェック・修正を行い、統計解析担当者が治験薬の効果を統計的に検証するための準備を行う事が業務となります。

○年収
未経験者で約350万円前後

4.QAとは
「Quality Assurance」の略で、日本語では「品質保証」

○業務内容
治験がGCP(治験の実施基準)やプロトコル(治験実施計画書)に沿って実施・データ作成・記録化・保存・報告されているかを管理します。

○年収
未経験者で約350万円前後

CRC・CRA・DM・QAになるには

看護職の場合、上記にあるようにCRCまたはCRAが向いている職種だと言われているようです。


CRCやCRAはCRO(Contract Research Organization)という受託臨床試験実施機関や、SMO(Site Management Organization)という治験実施施設管理機関に所属していることが多く、採用先としても、この2社が対象となってきます。なお、医療職の転職支援企業などでは、CROやSMOに紹介する前に、独自の研修を行うなどしているところもありますので、不安な方は、転職支援企業などに問い合わせてみてはいかがでしょうか?


健康診断・人間ドックで働くには

健康診断・人間ドックとは

健康診断(健診) 診察および各種の検査で健康状態を評価することで健康の維持や疾患の予防・早期発見に役立てることを目的としています。健診の種類としては、労働安全衛生法での職場健診や、今年からはじまった特定健診・特定保健指導、市町村が実施する乳幼児健診、学校保健法により学校にて実施する健康診断があります
人間ドック 健康診断に含まれますが、全身的に詳細な検査を行い多種の疾患の早期発見することを目的としています。船舶のオーバーホール施設である「ドック」からなぞられた言葉です
検診 乳がん検診や胃がん検診など、特定の疾病をスクリーニングする場合は、「健診」ではなく、「検診」を使用します。健診や人間ドックを行う場所は、施設で行う場合もありますが、検診車などを用いて契約先の会社や自治体に出向く巡回健診もあります。

健康診断・人間ドックでの業務内容

健診は、大まかには

1 受付
2 問診
3 各種検査
4 診察
5 保健指導
6 栄養指導

という流れで進みますが、保健師が担当するのは「問診」と「保健指導」が多く、看護師の場合は、「問診」と「採血などの検査」「診察の補助」となっています。


人間ドックの場合は、胃カメラや造影検査など普段受けることのない検査項目が入ってきますので、「不安を取り除くこと」や「検査内容の説明」なども必要となってきます。


看護師としての場合、「真空管での採血」「血圧測定」「心電図」が必須っぽいです。

健康診断・人間ドックの給与と待遇

○東京都の場合
月給:200,000円〜300,000円
日給:9,000円〜15,000円
時給:1,500円〜2,000円


○その他
巡回健診の場合、かなりハードだそうです。特に住民健診(今年からは特定健診)は朝が早い上に数日おき、すごい場合は毎日「移動」があるなど、体力的にもきついです。