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保健師のまとめブログ

保健師が気になった情報をまとめています。

硫化水素自殺、ネットだけでなくテレビ報道も大問題だと思う


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硫化水素を利用した自殺が増えています。
毎日新聞社の社説(一部引用)では


社説:硫化水素自殺 死を誘発するサイトの罪深さ 毎日新聞(2008.4.25)

戦前の伊豆大島三原山など時代とともに“自殺名所”も生まれては消えてきたが、インターネットが普及してからというもの、自殺サイトが同じ手段による自殺を広い範囲で誘発させる新しい現象が生じた。

最近は見知らぬ者同士が練炭集団自殺を図るケースが相次いでいるほか、自殺願望者が“殺し屋”を募り、実際に請け負った男に殺害される事件まで起きている。命を軽んじる風潮を背景に、自殺へと駆り立てるインターネットの魔力の不気味な広がりに、慄然(りつぜん)とするばかりだ。

硫化水素自殺の場合は、従来の手段よりも第三者を巻き添えにする危険が大きい。自殺サイトが自殺の誘因となっているだけでなく、硫化水素が別の犯罪に悪用される可能性も重視し、警察当局は監視に努めて、ネットの開設者やプロバイダーに自粛や削除を求めるべきだ。自殺との因果関係が認められた場合は、自殺ほう助罪の適用なども視野に入れて取り締まりを強める必要がある。自殺サイトに限らず、反社会的なサイトを追放する機運も、盛り上げねばならない。

と「インターネットの情報が自殺の原因」とかき立てています。

が、実は、「自殺に関する報道の在り方も問題ではないか」というWHOや自殺対策センターライフリンク日本臨床心理士会といった専門家による意見が数多くあります。


これでいいのか! テレビの自殺報道規定 J-CASTニュース(2006.11.16)

いじめによる自殺や「自殺予告」が相次ぐなか、マスコミの自殺報道のあり方に疑問の声が上がっている。自殺報道がかえって自殺の連鎖反応(群発自殺)を呼ぶのではないかというのだ。世界保健機構(WHO)は、「群発自殺」を防ぐための報道のガイドラインを示しているが、実際の報道はこれを逸脱している例が少なくない。

WHOは2000年に、「自殺を防ぐために マスコミへの手引き(PREVENTING SUICIDE A RESOURCE FOR MEDIA PROFESSIONALS)」と題された、群発自殺を防ぐための報道のガイドラインをまとめている。それによれば、実際に起きた自殺についての新聞・テレビの報道が自殺の増加と十分に結びつくことを示唆する十分な証拠がある、という。


「自殺を予防する自殺事例報道のあり方について」のWHO勧告(2000年)(一部引用) 自殺対策支援センターライフリンク

●日本における自殺報道の現状
○個々の自殺の手段を詳細に報じる傾向
 例:X-Japanヒデ氏の自殺報道、ネット自殺報道、練炭自殺についての報道
 →新しい自殺手段が入手可能であることを大々的に宣伝してないか?
 →模倣自殺(ウェルテル効果)
○自殺を考慮中の人が読者に多数いることを前提とした報道がなされていない。
 →そのような人々をサポートするメッセージ等がセットで紹介されていない。


「坑道のカナリア」の声を聞け 〜「硫化水素自殺」報道に思うこと〜 ライフリンク代表日記

当たり前のことではあるが、亡くなり方は同じようでも、亡くなった人に同じ人はいない。
自殺が起きるたびに、誰かのかけがえのない「いのち」が失われていっている。誰かにとって大切な人の「いのち」が失われていっている。

だが一連の報道からは、そうしたことがまったくと言っていいほど伝わってこない。いや「ひと」の気配すら感じられない記事が多い。

「周囲への影響」のことばかりが強調されて、まるで「死にたい奴は勝手に死ね。ただし、周りに迷惑を掛けずに独りで死ね」と言わんばかりの論調である。(そもそもWHOの「自殺報道ガイドライン」を無視した報道も目立つ。)


自殺に関する報道についてのお願い 日本臨床心理士会(2006.11.21)

本年6月16日に『自殺対策基本法』が第164通常国会にて可決成立し、年間3万人台を推移している自殺に対して国家をあげてその対策が講じられようとしております。その最中である本年10月頃より、全国各地で児童生徒の自殺既遂に関する報道が多数なされております。
もとより、報道は、憲法に保障された言論の自由のもとで行われるものであり、私どもはそれを尊重しておりますが、報道の姿勢や内容のあり方によっては群発自殺を誘発しかねない懸念をもっております。今後の報道について、自殺予防の見地から、以下の点にご配慮をいただけますよう、お願い申し上げます。


というように、自殺対策に関する専門家は「マスコミ側が興味本位で報道を行うと、模倣自殺や群発自殺の引き金になる」という理由から自殺報道に関してはWHO勧告に沿った内容での報道を求めていますが、実際は、WHO勧告を無視した報道が繰り返されているようです。


その結果


硫化水素自殺:「腐敗臭の煙」悲劇(1) ネット情報拡散、47人死亡 巻き添えも急増 毎日新聞(2008.4.26)

高知県香南市市営住宅で23日に自殺した中学3年の女子生徒(14)は、硫化水素による自殺方法を「テレビで見て知った」と書き残していた。県警香南署によると、生徒の自宅にはパソコンなどの機器はなく、ニュースなどから知識を得たとみられるという。

と、いったことも発生しています。


しかしながら、この記事や一番上の社説を見てもわかるように、マスコミ側の意見は「インターネットが悪い」とインターネットだけを批判している状態です。


たしかに、自殺に関する情報がインターネット上に無秩序に反乱している状態ではありますが
一方では、マスコミ側の興味本位でかき立てた記事や放送により、模倣自殺・群発自殺を引き起こしているという面もあります。
報道後に、「硫化水素」というワードの検索が増えたとの指摘もありますし。


マスコミには、一方的に「インターネットが悪い」と報じるのではなく
自らの報道の在り方についても、まじめにというかまともに判断して欲しいものです雨



◇関連記事
産経の社説は、自殺報道の在り方を理解していない人の記事 - 保健師のまとめブログ2


◇参考リンク
「自殺を予防する自殺事例報道のあり方について」のWHO勧告(2000年) 自殺対策支援センターライフリンク
PREVENTING SUICIDE A RESOURCE FOR MEDIA PROFESSIONALS(自殺報道ガイドライン英文 PDF) WHO