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男性乳がん患者は、気づきにくく予後不良になりがち


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男性患者は乳癌に気づきにくく予後不良になりがち 日経メディカルオンライン(要登録)(2008.7.10)

乳癌患者の約1%が男性だ。しかし、女性患者に比べ男性の乳癌は、進行した段階で診断される割合が高く、治療開始が遅いために予後不良になるケースが多いという。Orion Collaborative GroupのMarina Garassino氏が、2008年7月6日に欧州臨床腫瘍学会(ESMO)Luganoカンファレンスで報告した。

男性にも乳癌が起こりうることを知っている人は少ない。今回分析対象となった患者の多くが、乳房の中に発見した腫瘤を癌だとは思わず、その結果早期診断の機会を逸していた。転移が生じて治療が困難になるまで治療を受けていなかった患者も少なくなかった。従って、乳房に腫瘤を発見した場合には、男性であっても即座に癌を疑うことが必要と考えられた。

日本乳癌学会編の「科学的根拠に基づく 乳癌診療ガイドライン2004年版」によると

疫学と病態の特徴
男性の乳癌罹患率,死亡率は女性患者の1%程度の頻度である。好発年齢は,60歳台後半,女性に比べ10歳程度高齢者に発症する1)。発症の危険因子は,睾丸疾患(停留睾丸,睾丸炎の既往,外傷),慢性肝疾患(肝硬変,アルコール性肝炎),乳房病変(女性化乳房,乳頭分泌,嚢胞),胸壁放射線照射の既往などである2)。1度の親族に女性乳癌患者がいる場合の乳癌発症のオッズ比3.98,男性乳癌患者の約15〜20%は家族歴を有する3)。組織型は女性乳癌と同様であるが,女性乳癌と比べER,PgR陽性率が高い。HER2発現頻度に差はない4)。

予後
男性乳癌患者の予後は女性乳癌患者と比べて大きな差はない。従来,男性乳癌は進行癌がより多く,ステージの進んだものが多いので予後不良と考えられてきた。しかし,最近の報告(54例,97例)では,stage 0〜1が全体の43〜50%を占め,腋窩リンパ節転移陰性例も45〜62%と進行例がそれほど多くはないという報告がある5),6)。女性乳癌患者と予後を比較した比較的最近のデータで背景となる予後因子を調整すると,女性乳癌と無病生存率,全生存率ともほとんど差がないことが報告されている7),8)

引用元:「乳癌」 Minds 医療情報サービス


罹患率・死亡率ともに女性患者の1%程度の頻度とあります。


集計表のダウンロード 国立がんセンター がん対策情報センター


に公表されている「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ」によると2002年の乳がん罹患者数は女性41960人ですので、男性は約420人、また、「人口動態統計(厚生労働省大臣官房統計情報部)」では2006年の乳がんによる死亡者数は女性11177人ですので、男性は約110人と推測されます。

診療ガイドラインでは「男性乳がんは進行癌が多く、予後不良と考えられてきたが、最近の調査では女性との差はほぼない」と書かれていますが、10年以上前の研究のデータですので、変わってきているのかもしれませんね。


男性の乳がん: 治療 がん情報サイト

乳がんの男性では、触って分かるほどのしこりができるのが通常です。

男性乳がんでは、しこりなどの症状が引き起こされることがあります。ただし別の病態が原因で同様の症状が生じてくる場合もあります。乳房に顕著な変化がみられる場合は医師の診察を受けてください。

とありますので、男性でも、しこりや乳房の顕著な変化、女性化乳房がみられた場合は、診察を受ける必要があるようです。専門は乳腺科(乳腺外科、乳腺腫瘍科など)です。


順天堂医院乳腺センター

勿論、少数派の男性患者さんや家族の男性が気恥ずかしさを感じずにすむ落ち着いたものにもなっています。


埼玉医科大学病院乳腺腫瘍科

当診療科では次のような症状を扱っております。 (略) 女性様の乳房(男性)


大和高田市立病院 外科

しばしば、男性が「胸がふくらんだ」と言って病院に来られますが、その大半は女性化乳房症です。もともと男性の体の中でも、女性ホルモンが作られていますが、これは、いろいろな理由で、女性ホルモンが過剰になるために、男性の胸が女性のようにふくらむ病気です。
(中略)
女性化乳房症と紛らわしく、重要な病気としては、男性乳ガンが挙げられます。女性の乳ガン患者さん100人に対し、男性乳ガンは1人の割合で起こります。女性化乳房症と比較して、非常に硬く、動きが悪いのが特徴です。女性の乳ガンよりも、男性では進行が速いので、より迅速な診断・治療が必要です。心配な方は、乳腺外来を受診されることをお勧めします。

とあるように、乳腺外来の現場では、男性患者の受け入れも行っていますので、しこりや乳房の顕著な変化、女性化乳房がみられた場合は病院側に確認をして受診してみてはいかがでしょうか?