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阪南市立病院、新市長が再崩壊を選択


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昨年、崩壊しかけた(というか一回崩壊した)大阪府阪南市阪南市立病院


阪南市立病院、内科閉鎖へ 読売新聞(2007.6.25)

大阪府阪南市が、医師不足で7月以降に市立病院の内科を閉鎖せざるを得なくなり、財政再建団体に転落する恐れが出ている。

病院の収入が減るうえ、退職してもらう看護師ら最大約60人に退職金を払うことで生じる病院事業会計の赤字を補てんすると、市の一般会計の累積赤字が最悪で約20億円に膨らみ、再建団体転落の危険ラインを突破する。市は医師探しに奔走している。

医師一人当たり1〜2億円稼いでいると言われている「医業収入」がなくなると、財政再建団体に陥ってしまうため(病院の収入はほとんどが医業収入)、今年の6月市議会定例会で、「医師手当及び宿日直手当改正案及び非常勤職員医師給与費設定(PDF)」を可決し、医師の平均年収を1200万円→2000万円に引き上げました。

公式サイトにも、デカデカと掲載されています。

この効果で、ある程度は医師の招聘もでき、9月からは内科が外来・入院ともに再開になりました。(ちなみに、7月には小児科病棟が再開)

が、また崩壊しそうです。というよりは、市民と新市長が、「崩壊」を選択したっぽい。


歩合給「公立病院なじまぬ」 読売新聞(2008.10.28)

阪南市長選で、3選を目指した現職の岩室敏和氏(61)を破り、初当選した元副市長の福山敏博氏(58)は27日、岩室氏が6月に導入した市立病院の医師の歩合給制度について「公立病院にはなじまない」と述べ、11月12日の初登庁後、有識者が議論している同病院の改革プランを踏まえながら、見直しを検討する考えを明らかにした。

市立病院の運営では、「公設民営」方式の導入や、近隣病院との機能分担も検討し、医師の確保に向け、長年派遣を受けてきた和歌山県立医大(和歌山市)との関係を強化することにも意欲を示した。


存続危機の大阪府阪南市立病院、再び医師が辞意表明 MSN産経ニュース(2008.10.31)

医師の大量退職から一時、存続も危ぶまれた大阪府阪南市立病院で、新たに招いた医師らの多くが辞意を表明していることが31日、分かった。今月26日の市長選で、給与引き下げを検討する可能性に言及した元副市長が、医師招聘(しょうへい)を進めてきた現職を破り初当選し、医師が反発。同病院は再び危機的状況に陥る恐れが出てきた。


医師の集団辞意で診療休止も 大阪・阪南市立病院 47NEWS(2008.10.31)

同病院は6月、医師の平均年収を1200万円から2000万円に引き上げたが、10月26日の市長選で初当選した前副市長が給与を引き下げる意向を表明したため、8人が反発したとみられている。


同病院をめぐっては、昨年6月末から今年3月末にかけて内科医5人を含む計12人の医師が退職。内科を一時休止する一方で、歩合給与制度を導入し、新たに医師を招いて今年9月から内科を再開していた。


流れはこんな感じっぽいです。

2007年7月 内科入院休止
  ↓
2008年2月 総合診療という形で、一部内科外来を再開
  ↓
2008年4月 入院全面休止
  ↓
2008年6月 平均年収引き上げ(議会で決定)
  ↓
2008年7月 小児科入院再開
  ↓
2008年9月 内科医3名が新たに着任
  ↓
2008年9月 内科外来・病棟再開
  ↓
2008年10月 阪南市長選
  ↓
2008年10月 新市長が平均年収引き下げを表明
  ↓
2008年10月 医師8名が辞意表明
  ↓
(´・ω・`)


新市長(元副市長、2月に市長より解職される)は、「有識者が議論している同病院の改革プランを踏まえながら、見直しを検討する考えを明らかにした」とのことですが、市長選での新市長の福山氏第一声によると


選挙:阪南市長選 現職と前副市長の争い 市立病院問題が争点−−告示 /大阪 Yahoo!ニュース(2008.10.20)

◆立候補者の第一声(届け出順)
◇市民参画など重点的に−−岩室敏和候補(61)=無現
140の新しい施策を実施した。市役所をサービス機関に▽市政への経営感覚導入▽市民参画――の3点に重点的に取り組んできたが、改革に終わりはない。市立病院は内科医が全員退職する事態になったが、市民と一緒になって医師を招へいし、11月からは内科9人体制になる。市長が変われば明日にも市がつぶれる。3期目を命がけで頑張りたい。


◇市立病院の建て直しを−−福山敏博候補(58)=無新
34年9カ月、行政に携わってきた。市立病院を立て直さなければ、毎日赤字が増えていく。招へいした医師が辞めてしまえばまた同じことの繰り返しだ。人脈を生かして大学や近隣の公立病院とのネットワークをつくる。現市政では必要な政策も実施できていない。税収をどう生かすか、見直さなければいけない時期だ。ぜひチャンスをいただきたい。

>招へいした医師が辞めてしまえばまた同じことの繰り返しだ。
>人脈を生かして大学や近隣の公立病院とのネットワークをつくる


新市長の発言は、同じ事を繰り返すことにつながっちゃいましたが、それよりも気になったのは「人脈を生かして」の部分。


朝日新聞の報道によると


病院巡り溝 副市長解職 阪南市長 朝日新聞(2008.2.7)

阪南市の岩室敏和市長は6日、福山敏博副市長(57)を解職した。岩室市長は「最重要課題である市立病院の問題をめぐって意見に食い違いがあり、将来にわたって信頼関係を保持できないと判断した」と説明。これに対し福山氏は「病院問題については市長と常に緊密に連絡をとってきた。何をもって食い違いと言われるのか理解できない」と反論している。


福山氏は73年に旧阪南町職員となり、病院事務局副理事や事業部長を経て05年4月に助役(現副市長)に就任した。


複数の市関係者によると、福山氏は、昨年7月から内科が全面休診した市立病院に関し、外部との折衝実務を担当。同病院に医師を派遣していた和歌山県立医科大との窓口役を務めてきた。


昨年末から今年1月にかけ、同大学関係者を通じて複数の内科医を病院に招く話が進んでいたが、同月末になって、市が4月から入院を全面休診する方針を朝日新聞などが報じて以後、交渉が事実上暗礁に乗り上げたという。この交渉経過をめぐり、市長と福山氏の間で溝が深まっていたという。

市長との間で、何かあったようですが、それはおいといて

和歌山県立医科大との窓口役を務めてきた

市立病院の運営では、「公設民営」方式の導入や、近隣病院との機能分担も検討し医師の確保に向け、長年派遣を受けてきた和歌山県立医大(和歌山市)との関係を強化することにも意欲を示した(一番上の読売の記事)

和歌山県立医大に人脈があって、それを使って立て直すつもりのようですが、7月に招聘した医師の一人は「元和歌山県立医大付属病院長」


前市長および病院は、市民向け公文書に「*招聘:礼を尽くして人を招くこと」や「今回も有難いことに思いを同じくしていただける3 名の医師の方々を招聘することができました。」と書いているように、いろいろ頑張ったようですが、3ヶ月後、新市長がいきなりぶち壊した印象です。人脈は大丈夫なのでしょうか雪