琉球新報にCKD(慢性腎臓病)についての記事が掲載されていました。
CKDは最近注目されている概念です。
メタボリックシンドロームとCKD(慢性腎臓病)は、これからの生活習慣病予防においては、重要になってくるキーワードですので、ぜひ覚えておきたいものです。(もちろん、癌対策やタバコ対策、高血圧の予防も重要です)
◇<828>“かくれ腎臓病” 症状なく、発見遅れも 琉球新報(2008.12.22)
慢性腎臓病は新たに発見された特別な病気ではなく原因を問わず、蛋白尿のように腎臓に病気がある兆候や腎臓の機能が低下している状態が3カ月以上持続している場合につけられる病名です。
診断はいたって簡単で検尿と採血ですぐ分かります。例えば尿タンパクや尿潜血が続けて陽性である場合や、採血でクレアチニン(血液の汚れの指標の一つ)の数値が基準値より上昇がみられる場合(最近はクレアチニンの数値から腎臓の働きを表すeGFRを計算して60を下回っていないか確認)は慢性腎臓病と診断されます。
腎臓の病気は特殊な病気と思われていましたが、慢性腎臓病の患者は全国で1300万人近く存在していて、ごくありふれた病気であることが分かりました。近年、糖尿病や高血圧による腎不全が増えてきたことや平均寿命が伸びていることなどが関係していると考えられます。
また、この病気が注目を集めているもう一つの理由に、慢性腎臓病の患者さんに心臓病や脳卒中が多いことが挙げられます。最近、何かと話題のメタボリックシンドロームとこの点で同様だといえますが、慢性腎臓病の患者のリスクはそれよりも何倍も高い事が明らかになっています。
なぜ、メタボリックシンドロームとCKD(慢性腎臓病)が注目されているかというと
これらの疾患は、血管系の疾患(動脈硬化→心臓病や脳卒中)の大きなリスク要因と考えられているからです。
CKDの進行と心血管疾患についての考え方は「CKD診療ガイド」に六角形で表された概念図がありますが
高血圧や糖尿病、喫煙がCKDのリスクとなり、「正常」から時計回りに進んでいきます。
そして、CKDのステージが進むにつれ(CKDが悪化するにつれ)
中央にある「合併症」に進みやすくなります。
(図では、ピンクの矢印がどんどん太くなっています)
腎臓の病気であるCKDですが、実は動脈硬化や心血管疾患の非常に高いリスク要因でもあるため、早期発見早期治療・早期の生活習慣の改善が必要となってきます。
これまで、腎臓の評価については、尿蛋白が一般的でしたが、実は尿蛋白がでる状態は、CKDのステージがかなり進んでいることがあることがわかっています。自覚症状が出てきたときは「透析が必要な状態」ということも少なくありません。
そこで、早い段階で腎臓の異常を発見できないかということで出てきたものが
eGFR(推定糸球体ろ過量)
という、検査項目。
腎臓にある糸球体というフィルターが、血液を濾(こ)して、老廃物などの要らないモノをおしっこにして捨てますが、この糸球体がどれだけ働いているかを数値化したものが、eGFR(推定糸球体ろ過量)です。
◇CKDとは J-CKDI 日本慢性腎臓病対策協議会
▲このサイトに、分かりやすく紹介されています
eGFR(推定糸球体ろ過量)を求めるのに必要な項目は
1.性別
2.年齢
3.血清クレアチニン値
の3つだけ。
つまり、血清クレアチニン値さえ分かっていれば、簡単に求めることができます。
○腎機能をチェックしましょう(GFR値の自動換算) J-CKDI 日本慢性腎臓病対策協議会
▲このサイトで、すぐに求めることができます
血清クレアチニン値については、特定健診の必須検査項目から外れてしまったのですが
沖縄県内の市町村国保は、独自に「血清クレアチニン値」を追加項目に入れましたので
国保の方は、特定健診を受ければ、血清クレアチニン値と性別と年齢から
簡単に、eGFR(推定糸球体ろ過量)を求めることができます。
特定健診を受けていない方は、ぜひ、受けてくださいね