「ユニバーサルデザイン」と似た言葉で「バリアフリー」や「ノーマライゼーション」と言ったものがあります。さて、この3者の違いはどうなっているのでしょうか?
いきなり結論からでずが、この3者についてまとめてみると
「ノーマライゼーションのひとつとしてユニバーサルデザインがあり、ユニバーサルデザインへの移行時期にあるのがバリアフリー」です(だと思います)
各の言葉について調べてみると
「障害者を排除するのではなく、障害を持っていても健常者と均等に当たり前に生活できるような社会こそがノーマルな社会である」と言う考えから生まれた言葉で、障害者と健常者とは、お互いが特別に区別されることなく、社会生活を共にするのが正常なことであり、本来の望ましい姿であるとする考え方。またそれに向けた運動や施策なども含まれる。
文化・言語の違い、老若男女といった差異、障害・能力の如何を問わずに利用することができる施設・製品・情報の設計(デザイン)をいう。
ノースカロライナ州立大学のユニバーサルデザインセンター所長であったロナルド・メイス(1941-1998)が1985年に正式にペーパーで提唱した、バリアフリー概念の発展形。「できるだけ多くの人が利用可能であるようデザインすること」が基本コンセプトである。デザイン対象を障害者に限定していない点が一般に言われる「バリアフリー」とは異なる。
広義の対象者としては障害者を含む高齢者等の社会生活弱者、狭義の対象者としては障害者が社会生活に参加する上で生活の支障となる物理的な障碍(障害)や精神的な障壁を取り除くための施策、若しくは具体的に障碍を取り除いた状態をいう。一般的には障害者が利用する上での障壁が取り除かれた状態として広く使われている。
となっています。
特にユニバーサルデザインとバリアフリーについては、混同が多いと思います(実際、行政や企業・障害者団体でも混同されている場合があります)が、その考え方は違います。
バリアフリーは「障害者にとってバリアとなるものは取り除こう!」というものであり「障害者にとって邪魔なものは設置しない、すでにあるなら取り除くなりして改善する」という考え方でありますが、ユニバーサルデザインは「はじめから、誰にとっても使いやすく便利な社会にすること」となっており、対象の違いがあります。
簡単にいうと「車椅子でも使いやすい障害者用トイレ」がバリアフリーであり、車椅子の使用者に限らず、子どもでも高齢者でも障害者でも、そして重要なのがいわゆる「健常者」にとっても使いやすいトイレがユニバーサルデザインです。
シャンプーとリンスの容器の違い
これについてさらに説明してみると、シャンプーとリンスの容器の違いがあげられます。
シャンプーとリンスの容器にはある違いがあります。最近では当たり前のことになっていますが、それは、「シャンプーの容器にはサイドにキザキザ(デコボコ)があり、リンスの容器にはない」ということ。
シャンプーのキザキザについては花王が開発し1991年に商品化されました。
これは「目が不自由なので工夫してほしい」という声から生まれたものですが、目が不自由でなくても、洗髪時は目をつぶっていることが多く、健常者にとっても誰にとっても、容器を触っただけでそれがシャンプーなのかリンスなのか分かることはとても便利なものです。これがユニバーサルデザインのひとつであります。
ここからは余談になりますが、このキザキザについて花王は実用新案を登録しました。実用新案に登録されると、他のメーカーが「これは便利だからうちでもやろう」と思っても、実用新案権(工業所有権)を花王持っているため、他のメーカーはシャンプーの容器にキザキザをつけることができません。
しかし、花王が実用新案権を持っていると、他のメーカーは「シャンプーにキザキザがつけられない」ために、「キザキザがあるのがリンス」「容器が四角なのがシャンプーで丸いのがリンス」と言ったようにメーカーごとにさまざまなデザインが生まれてしまい、消費者が混乱に陥ってしますことがあります。
それを懸念した花王は、キザキザシャンプーの実用新案を取り下げ、逆に、日本化粧品工業連合会に「シャンプーの容器はサイドにキザキザをつけよう」と持ち掛けました。
それにより、現在では国内のほとんどのメーカーで「キザキザはシャンプー」「何もないのがリンス」となり流通しており、海外でもこのキザキザを取り入れるところがあります。
障害者だけでなく、誰にとっても使いやすいデザインがユニバーサルデザインと言えるでしょう。
◇参考リンク
○シャンプーの容器についてるギザギザはなに? 花王